ジ・エコーズ、みすず児童合唱団『ウルトラセブンの歌』(『ウルトラセブン』)

ウルトラシリーズの歴史に燦然と輝く金字塔であり、今年、放送50周年のメモリアルを迎えた名作中の名作『ウルトラセブン』。

SF色を全面に押し出したストーリーと化学兵器の描写や、社会風刺とメッセージ性に富んだシナリオで、今も尚、そのファンを増やし続けています。『ウルトラマン』と並び、昭和ウルトラシリーズを象徴する屈指の人気作です。

主題歌も評価は高く、その作品性と同様にファンから愛され続ける1曲となっています。

耳にするだけで胸が高鳴るイントロに、ヒーローの名前を連呼する明快なコーラス、それらをバックにシルエットで登場するポインターやウルトラホークといったウルトラ警備隊の主力兵器の数々、そして、最後の最後に現れる我らがウルトラセブン……。

何百回、いや、何千回と観て、聴いても全く飽きることがない本当に優れたオープニングです。

厚みのあるオーケストラとコーラスグループ、ジ・エコーズによる歌唱、更に、児童合唱団の歌声が三位一体となったこの曲の魅力は、これから先、更に長い年月を経ても決して色褪せることはないでしょう。

なお、ジ・エコーズは、尾崎紀世彦さんが所属していた音楽グループであるザ・ワンダースの変名であり、実は、この『ウルトラセブンの歌』(を筆頭とした『ウルトラセブン』の関連曲)は、ソロデビュー前の尾崎さんの歌声が聴ける楽曲としてウルトラファンや昭和歌謡のファンに知られています。

団次郎、みすず児童合唱団『帰ってきたウルトラマン』(『帰ってきたウルトラマン』)

第二期ウルトラシリーズの先陣を切った『帰ってきたウルトラマン』の主題歌は、劇中で主人公の郷秀樹(新マン、ウルトラマンジャック)役を演じた団次郎(現・団時朗)さんが歌唱を担当し、「主演俳優が歌うウルトラソング」という新たな流れを同シリーズにもたらしました。

現在では、人気RPGゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズの音楽を創った作曲家としてゲームファンにもその名を知られるすぎやまこういちさんによるメロディは、子どもの心を一発で掴むようなキャッチーさと流れるような美しさをこの曲にもたらしています。

また、団さんの伸びやかな歌声は、『帰ってきたウルトラマン』の主役である郷秀樹と同様に実に爽やかで、温もりのある親しみやすさを聴く者に与えてくれます。

主演俳優が、地球の平和を脅かす怪獣や侵略者との闘いにその身を投じるヒーローの姿を歌い上げるこの曲は、現代的な感覚で捉えると、一種の"キャラソン"という言い方もできます。

歴代シリーズにおける主題歌を振り返る上で、そのメロディと歌が持つ音楽的な魅力に加えて、その革新性においても、決して外せない楽曲といえるでしょう。

第一期ウルトラシリーズの主役であるウルトラマンやウルトラセブンに比べると、怪獣相手に大苦戦したり、悩みや葛藤を抱えたり……と、完全無欠の正義のヒーローというよりは、人間味のある描写が目立ったことから、後に"人間ウルトラマン"とも称された『帰ってきたウルトラマン』にピッタリな1曲です。

武村太郎、少年少女合唱団みずうみ『ウルトラマンタロウ』(『ウルトラマンタロウ』)

『ウルトラマン』から『ウルトラマンA』に至るまでの主題歌は、その作詞を全て円谷プロダクションで2代目の社長を務めた円谷一氏が手掛けていた(作詞家としては「東京一」名義を使用)のですが、円谷一氏は、1973年に体調の悪化から急逝、その後に放映を開始した『ウルトラマンタロウ』からは、新たな作詞家を迎えての新体制がスタートします。

そして、新たにウルトラシリーズの歌詞世界を作り出したのが、大作詞家の阿久悠さん。歌謡界を代表する有名作詞家が紡ぐ言葉によって、ウルトラシリーズは、また新たな音楽世界を切り開くことになったのです。

子どもたちの視点に立った陽気で、単純明快な世界観とヒーロー性が特徴だった『ウルトラマンタロウ』らしく、その主題歌も非常にポップであり、主役であるタロウのヒーロー性がストレートに反映された楽曲となっています。

また、本作ではオープニングシークエンスが、サイケデリックな背景をバックに兵器や怪獣のシルエットが登場するアニメーションから、防衛組織の基地から各種メカニックが次々に発進していく実写映像へと変更され、映像面においても視聴者に強い印象を与えました。

メロディも素晴らしく、ファンキーなギターのカッティングに、ストリングスや各種管楽器、太鼓など様々な楽器を駆使したオーケストラサウンドは、非常に複層的で音楽的にも多くの聴きどころを持った1曲です。