話のスピードを上手くコントロールし、時間ピッタリにプレゼンテーションを終えることは大事だが、「それを目的化してはいけない」と渡辺さん。情報を詰め込み、まくし立てるように話して、“はい、10分ぴったりで終わりました!” では、自己満足にしかならない。
「よく“かつぜつが悪くて、話を聞き返される”という悩みを聞きます。しかし、トークのプロになるわけでもないのだから、聞き返されたらもう一度話せばいいだけのこと。早口言葉を練習するより、自分が提案する企画や商品にじっくり向き合い、実感のこもった言葉で伝えることが大事です」
相手が経験豊富であるほど、口先だけの技術は看破されてしまうもの。『“本番”を成功させる「6つのメソッド」』[ https://ure.pia.co.jp/articles/-/10810 ] でも指摘しているように、上手く話そうとするよりも、自分の言葉、自分のペースで話すことを意識したほうが、印象に残るようだ。
今回は表面的なトークスキルではなく、より本質的な話し方、言葉の選び方について、渡辺さんにそのポイントを聞いた。「5つのポイント」をしっかり意識して、自分の話し方を見つめ直そう。
「息づかい」&「息の吐き方」が話し方を変える!
声は独立して存在するものではなく、「息を吐いた結果」として生まれるもの。伝わる話し方をする上で、重要なのは「息づかい」だ。
例えば、図書館で話すときに自然と声を潜めるように、「現場の環境や話す相手と、自分がどう関わっているか」ということが正確に認識できていれば、自然とその場にあった息づかい、声の出し方になる。プレゼンテーションでギクシャクしたり、相手の反応がよくないときには、現場にあった「息づかい」ができていないことが多い。その場合には、「呼吸を変える」ことを意識しよう。
具体的な方法としては、まずはプレゼンテーションをする場所ですべて息を吐き出し、その場の空気をしっかりと吸い込むこと。これが効果的で、驚くほど声のトーンが変わってくる。気持ちの上でも「アウェイ」が「ホーム」に変わり、緊張感を緩和することができる。話している最中でも、調子が出ないようだったら一度息を吐くこと。資料を作る際にも、大事なポイントに「ここで調子が出なかったら、息を吐く」ということを思い出させるため、ブレスマークを記入しておくといい。
<プレゼン当日のポイント>
1. プレゼンテーションの現場で、しっかり息を吐く
2. その場の空気を吸い、「アウェイ」を「ホーム」に
3. 資料にも「ブレスマーク」を記入しておく