カーサ デ ガスタの「ゲタリアイス」
アイスクリームを食べさせてくれる店をもう1軒紹介する。
ふつうのアイスクリームのようだが、「ゲタリアイス」というチーズアイスだ。
チーズを使っているため、アイスクリームやジェラートともちがう爽やかな酸味があり、舌に心地よい。しかも自家製イチゴのコンフィチュールを添えることで、より甘酸っぱさが強調されている。
ゲタリアイスを提供しているのは、2021年6月、白金にオープンしたチーズスイーツ専門店「CASA DE GAZTA(カーサ デ ガスタ)」。あのバスクチーズケーキを日本に広めた「GAZTA」の姉妹店だ。
けれど、ゲタリアイスが生まれたのは、日本ではない。スペインはバスク地方の港町ゲタリアにある、ミシュランレストラン「エルカノ」(創業1964年)のスペシャリテだ。
GAZTAのシェフパティシエ、戸谷尚弘さんがエルカノで食事をした際、デザートに出されたチーズアイスに感動し、「作り方を教えてほしい」と直談版。厨房に招かれ、レシピを授かった。「ところが、ひとつ問題がありました。エルカノのチーズアイスを再現するために必要なフレッシュチーズが日本にはありませんでした」
戸谷シェフは、北海道にある「美瑛放牧酪農場」に協力を仰いだ。同農場のチーズ職人が試行錯誤の末、フレッシュチーズを開発。おかげでエルカノのスペシャリテを再現でき、カーサ デ ガスタをオープンさせることができた。
それからひと月後。戸谷シェフは新製品を開発した。「バスクシェイク」だ。
シェイクというとマシンで作る、ファストフードの夏の名物を思い浮かべる。ところが、戸谷シェフのバスクシェイクは手作り。球状のアイスクリームをカップに入れたかと思うと、白い液体をかけた。
その上にパッションフルーツと、サイコロ状に切った宮崎マンゴーと、同じくサイコロ状にカットしたクッキーのようなものを添えて完成。果物こそわかったが、球状のアイスと白い液体が謎だった。
「球状のゲタリアイスに、スープ状にしたバスクチーズケーキをかけました。いわば、飲むチーズケーキです」
太いストローで吸い込むと、ゲタリアイスとバスクチーズケーキが口のなかで一体になる。
ときにツルンとした食感のマンゴーやパッションフルーツが押し寄せ、サクサクのクッキー(正確にはクランブル)も入り混ざる。すべてが渾然となり、爽快で愉快な食感を楽しませてくれる。
「ゲタリアイスとバスクシェイクは店内で召し上がっていただけますし、テイクアウトもできます」
ただ、溶けやすいため、通販は不可。カーサ デ ガスタの味を家庭で楽しめるように通販可能な「チーズサンド」と「バスクレーヌ」を製品化。ともにチーズを使用した秀作。
チーズアイスのゲタリアイスと、飲むチーズケーキ。この夏、白金で新食感の、冷たいデザートを体験してみませんか。
カーサ デ ガスタ
住所/東京都港区白金1-14-3
電 03-3473-7495
営業/9:00~19:00
無休
価格はすべて税込