熱いアニソン、泣けるアニソン、心震えるアニソン……。世の中には、様々なアニソンが生み出されてきましたが、中には、その方向性を笑いとギャグに振り切ったコミックソングやネタアニソンも数多く存在しています。

下ネタ、パロディ、悪ノリ、或いは、豪華ゲストのミスマッチなキャスティングがシュールな笑いを生み出した楽曲も。伊集院光さんが言うところの『おバ歌謡』を彷彿とさせるコミカルなアニソンから、オススメのナンバーを10曲紹介いたします。

パルコ・フォルゴレ『チチをもげ!』(『金色のガッシュベル!!』挿入歌)

2003年から2006年にかけて放映されたテレビアニメ『金色のガッシュベル!!』(原作漫画のタイトルは『金色のガッシュ!!』)の挿入歌として使用され、今に至るもアニソン史に残るコミックソングとして奇矯な輝きを放ち続けるのが、この『チチをもげ!』です。

劇中に登場するイタリア出身の世界的映画スター、パルコ・ファルゴレの持ち曲で、ファルゴレ役を演じる高橋広樹さんが歌唱を担当しています。

サビの「チッチッチッチおっぱいぼいんぼい~ん」という余りにも強烈な歌詞で有名なこの曲は、徹頭徹尾、おっぱいにメロディとリズムが捧げられた「おっぱい賛歌」。何はなくとも、その奇特なリリックの存在感が際立つ1曲です。

アニメ化にあたって原作漫画から歌詞が追加されており、追加パートを担当しているのは、脚本家の大和屋暁さん。『銀魂』や『人造昆虫カブトボーグ V×V』といったタガが外れたかのようなナンセンスなコメディを生み出してきた"鬼才"の同氏だけに、本曲でもナンセンスな言語感覚が大爆発しています。

一方で、ラテンフレーバーをまぶした耳に残るメロディやコミカルな歌詞をハイテンションかつ大真面目に歌う高橋さんの美声など、音楽的な聴きどころもタップリで、"ポップソング"として何気によくできている点も聴き逃せません。

キャッチーな曲と歌が、とことんナンセンスな歌詞のコメディ感覚を更にパワーアップさせ、とてつもない笑いのエネルギーを生み出す……だからこそ『チチをもげ!』は、コミックアニソンの名曲として今も愛され続けているのだと思います。