異色のビジネス書『フィーチャリング力』を刊行したVERBALさん。これまでm-floのメンバーとして安室奈美恵や和田アキ子、坂本龍一など数々のアーティストをフィーチャリングしてきた彼は、人気アクセサリーブランド「AMBUSH」の経営や、様々なイベントのプロデュースも手掛けるなど、各方面でワールドワイドに活躍する「やり手のビジネスパーソン」としてのキャリアの持ち主でもあった。彼の成功の秘訣をまとめたのが、この一冊だ。
「僕はm-floとしてデビューしてから、ずっと好きなことをやりたいと思い続けてきました。それを実現するためにはどうすればいいのか? それが僕にとってビジネスを始めた理由でした。
僕は本名の柳榮起(リュウ・ヨンギ)として〈有限会社 柳〉の代表取締役社長も務め、ビジュアルディレクターである妻と二つのブランドを展開しています。それも、もともとは自分が身に付けたい理想のジュエリーを自分で作ってしまおうが始まりでした。ラップが上手いだけでは次に繋がらなかったし、ジュエリーを作りたくても、それをブランド化して売っていかなければ続かない。だからそれが会社になっていった。そういう風に、夢を実現可能なものにするために頑張ってきたのが、僕のキャリアなんです」
大ヒットしたm-floの「loves」プロジェクトをはじめ、様々なコラボレーションを行なってきたVERBALさん。そんな中で、音楽の現場で会得したフィーチャリングのスキルが、様々な仕事を成功させる秘訣だということに気付いたという。
「フィーチャリングというのは、単なる足し算ではありません。フィーチャーするというのは、その人の良さを活かすという意味です。
たとえば僕がm-floの「loves」プロジェクトでクリスタル・ケイさんをフィーチャリングした時には、彼女がそれまで自分のソロではやらなかったタイプの曲調で新しい彼女の魅力を引き出せたと思います。僕らも彼女が歌うことで新しい曲が作れた。お互いに良い部分を引き出しあって、それがセールスに繋がった。つまり、1+1を2ではなく3にも4にもできるのが、フィーチャリングの魅力なんです。
それを音楽以外の仕事に置き換えるならば、自分一人ではなく誰かの力を借りてプロジェクトを成功させるようなときは、まさに僕の言う〈フィーチャリング力〉が必要になる。つまり、自分の持っている武器を知ってから、相手の良い部分を引き出す方法を探していくということ。特に心がけているのは、相手にもメリットがあるようにするということです。ただ相手を利用して自分をステップアップしようとするのではなく、相手にハッピーになってもらえることは何かを考える。そこを心がけています」