在学中にかかるお金の出どころ
ここまで、大学に入っていからかかる費用について見てきましたが、実際だれがどのようにお金の工面をしているのでしょうか。
費用の工面方法は3つ、「もらう・かりる・かせぐ」です。ここではコロナ前の平成30年度学生生活調査をもとに見ていきましょう。
平均値では、学費と生活費を合わせた必要額を100%としたとき、家庭から「もらう」お金が59.8%、奨学金で「かりる」お金が18.0%、アルバイトや定職として「かせぐ」お金が20.2%となっています。
家庭からの仕送り(もらう)
平均値をみると、約6割を占めるとされる家庭からもらうお金ですが、個々のばらつきがあるようです。
家庭からの給付のみで就学可能と回答した学生は約7割です。一方で、家庭からの仕送りだけでは生活が成り立たない学生も少なくありません。そういった学生は、奨学金を「かりる」、アルバイトで「かせぐ」などして生計を立てています。
給与の賃上げに比べ、学費が値上がりする割合が高いことから、家庭の収入に占める教育費の割合は年々増加傾向にあります。
各家庭の状況や考え方によって、お子さん自身の「かりる・かせぐ」の手段も含めて、大学費用の捻出方法を検討するとよいでしょう。
奨学金(かりる)
大学費用の工面の方法として、「奨学金をかりる」という方法があります。一般的な奨学金(貸与型)は、貰えるものではなく、大学卒業後に返済が必要となります。
では、実際にどのくらいの人が奨学金を利用しているのでしょう。
2018年度では、大学に進学する47.5%の学生が日本学生支援機構の奨学金を受給しました。また、奨学金が「必要なし」と回答した家庭は51.4%で、進学者の約半数の家庭が大学資金の借り入れが必要と感じていることがわかります。
自宅から大学へ通う生徒よりも、アパートなどの自宅外から大学に通う生徒のほうが奨学金を借りる人が多く、自宅外からの通学が負担になっているようです。
アルバイト(かせぐ)
家庭からもらうお金以外にも、学生自身がアルバイトなどで学費や生活費を稼ぐことも珍しくありません。約3人に1人は、家庭からもらうお金だけでは十分でなく、アルバイトをしています。
4年制大学生のうち、86.1%がアルバイトを行っていましたが、その内訳は、「家庭から十分に仕送りをもらっている人」が52%、「家庭からの仕送りだけでは不自由または生活できない人」が29.7%、そして、「家庭から給付をもらっていない人」が4.4%です。13.9%がアルバイトを行っていませんでした。
多くの学生にとって、自分自身がアルバイトとして稼ぐことが、学生生活を成り立たせる上で必要とされていることがわかります。
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以上のように、大学入学後にかかる費用も工面方法も多種多様です。家庭の金銭事情や考え方も多種多様で、正解はありません。
大切なのは、できるだけ早く家庭のなかで、子どもの教育方針や、最大どこまで親が金銭的サポートをするかを話し合い、それに向けて準備を始めることです。
【執筆者プロフィール】 アンドリューズ美和子
キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファミリーファイナンスアドバイザー/子ども英語アドバイザー
Youtube「キッズマネーチャンネル」で親子のためのお金の情報を発信。家族の希望を最大限に活かす『教育費を無理なく準備するための家計の仕組みづくり』が好評。得意分野は「iDeCo、NISAを活用した資産形成」。アメリカ留学の経験を生かし、ネイティブ講師の子ども専門英会話教室「アドベンチャーイングリッシュ」を経営。3児の母。