お金で始まる恋もある!?
篠崎一夜 (著)香坂透(イラスト)
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続いて、バブル崩壊後の2000年代前半。当時は「ヒルズ族」と呼ばれる、新しいタイプの起業家がメディアに盛んに取り上げられていた時代でした。BLでもこの影響を受けて、攻めの傾向が変化しています。お金持ちであることに変わりはないのですが、それまでの芸能人・御曹司に代わって、実業家の攻めが急増したのです。
当時の人気BL小説『お金がないっ』(篠崎一夜/幻冬社)は、やり手実業家(闇金融会社社長)の狩野北が、借金のカタで人身売買の競売にかけられていた綾瀬雪弥を落札して、強引に手元に置く……という、ちょっとハードな物語。ただお金持ちと恋愛をするのではなく、借金のカタで仕方なしに関係が始まってしまうのが、バブル期のBLと比べて新しいところでした。
この作品以降、受けがオークションで落札されてしまうパターンのほかに、遊郭ものブームのきっかけとなった『君も知らない邪恋の果てに』(鈴木あみ/白泉社)など、受けがお金で買われてしまう作品が次々と登場しています。終わりの見えない不景気の中にあったからこそ、生まれたジャンルなのかもしれません。
オイルマネーはBLにも……。
アラブ特集』
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そして、2000年代後半。原油価格高騰とともに、BLにもオイルマネーが大きな影響を及ぼします。アラブブームの到来です。当時、BL大手出版社のリブレからもアラブをテーマにしたアンソロジー『b-BOY Phoenix(12) アラブ特集』が発売されています。
アラブものでの王道パターンは、ごく普通の日本人青年が、アラブの王族(お金持ち)に見初められて、幸せになるというシンデレラストーリー。不景気な日本を抜け出して、お金に困らず幸せになりたいという、腐女子の願望の表れだったのかもしれません。