約30年に渡り、幼児向けの能力開発教室を経営し、自身の3人の子を一人で育てあげた池江美由紀さん。次女は競泳の池江璃花子選手です。

スポーツ選手を育てたというといわゆるスパルタママを想像されがちですが、池江さんはそうではなく、「水泳をしなさい」「速いタイムで泳ぎなさい」と言ったことはないそう。

大切にしたのは、「どんなことでもその中で一生懸命努力すること」「強い心を持つこと」「最後まで投げ出さずにやり遂げること」など。

池江さんは「水泳を通して、“人間力”を身につけられれば良いと思っていました」と話します。

「トンビでもタカの子育てを真似ればタカに育つ」、それが『池江式教育法』です。

「私自身、決して恵まれた環境で育ったわけではありませんが、どんな親から生まれた子でも、適切な刺激や環境を与えれば、優秀に育つことができます」と池江さん。

それは子どもにどんどん知識を詰め込み、早くから周りと差をつけるような教育ママ的な考えではなく、子どもの人間力を育て、能力を引き出す教育。

初の著書『あきらめない「強い心」をもつために』(アスコム)では、子育てで大切にしてきたことや、経営している幼児教室で実践してきたことをまとめています。

今回はその中から、“池江式”子育てのルールをご紹介していきましょう。

『池江式教育法』子育てルール

1:親が子供の可能性を信じること

池江さんは、璃花子さんにたびたび「できるよ」「まだまだ眠っている力があるよ」という可能性を信じる言葉をかけていました。

「客観的に見れば達成は難しいかなと思う目標であっても、100%難しくても、50%でもたとえ1%でもその目標に近づければ、達成感が得られます。

だから“そこに近づけるよ”、“もっとやれるよ”というつもりで、『できるよ』『まだまだ眠っている力があるよ』と励まし、やる気にエネルギーを与えてきました」

出典(『あきらめない「強い心」をもつために』)

このような言葉をかけることで、璃花子さんは池江さんがびっくりするような目標をはるかに超える記録を出すこともよくあったのだそうです。

大人でも“あなたならできるよ”と繰り返し言われると嬉しい気持ちになったりしますが、特に小さな子供たちは純粋。

プラスの言葉をかけ続けることで、子供の中に「できる」という自信が備わっていくのです。

ただ習い事は“人間力”を身につけるためのもの。子供の成績によって、親が偉くなるわけではないということも忘れてはいけません。

「私は子供たちの成績と親の価値は全く別だと考えています。子供がどんなにいい成績を収めても、それで親の価値が変わったり、偉くなったりするわけではないのです。親は絶対にそこを勘違いしてはいけません。

幼いころに経験する習い事を通して、努力すること、諦めないこと、我慢すること、友だちに思いやりを持って、仲良くすることなどを身につけることが大切だと思っています。

親が成績を上げることを目的としたり、そればかり評価したりしてしまうと、人間力を育てるどころか子供の伸びる力の足を引っ張ってしまいます。他にもっと大切なことがある、ということを忘れないようにしなければなりません」

出典(『あきらめない「強い心」をもつために』)