いずれも逆境でくじけないメンタルの強さを誇り、チームを最優先してプレーできる。岡田は「1番を固定していないチームは弱くなってしまう。だから自分が1番を打ちたい」という気概を買ってリードオフマンとして起用。2番の井端は侍ジャパンを引っ張った勝負強さに期待したい。3番の長野はホンダ時代の安藤強監督が「走攻守、顔、性格、タフさの六拍子が揃った選手」という万能プレイヤーだ。4番の松田は侍ジャパンをムードメーカーとして支えた。5、6番の稲葉、後藤は後輩を気遣えるメンタルの持ち主。7番の大谷は、誰もが認める好青年ぶりを先物買いで。8番の大野は、東洋大学時代の高橋昭雄監督が「アマチュアの心を忘れていない」という向上心で“女房役”として支えてもらいたい。ピッチャーの浅尾は、「打たれた悔しさは、次にマウンドに上がるまで忘れられない」という“負けず嫌い”だ。

そんな彼らを束ねるのは、日本ハムの栗山英樹。指導者を務めるのは昨季が初めてだったものの、見事な統率力でチームを3年ぶりのリーグ優勝に導いた人物だ。男から見てもイケメンで、いつも爽やかな笑顔を絶やさず、選手とともに涙する栗山監督。昨季開幕前には、こんなセリフで選手のモチベーションに火をつけたという。

「シーズンが終わったとき、家族や奥さん、親御さんに『よく頑張ってくれたね。ありがとう』と言ってもらえるようにプレーしてほしい!」

日本ハムの選手たちは、成熟した大人たち。誰も個人成績に走らず、チームの勝利を最優先してプレーしている。春季キャンプからオープン戦でそう感じた栗山監督は、「家族の笑顔のために」という気持ちこそ、選手が最も力を発揮できると考えた。

こんな上司がいたら、誰だって「上司のために」「組織のために」とプラスの力を発揮できそうな気がする。


最近こそ少なくなったが、かつてのプロ野球界では“鉄拳制裁”が当たり前だったという。今でも、ベンチから怒声が聞こえてくることもある。

ただ、それでは選手が萎縮してしまう。「どうすれば選手が気持ちよくプレーでき、最も力を発揮できるか」と考える監督がいてこそ、強いチームはでき上がるのだと思う。

栗山監督は、こんな話をしていた。

「指導者というのは、選手と一緒にどれだけ成長していけるかだと思う。僕はまだまだ全然ダメだから、成長しないといけない。ということは、成長する伸びしろがあるということですよね? 選手と一緒に成長していければ、当然チームは良くなるはず」

選手と監督が互いを尊重し、前を向きながら成長を目指していく。これぞ幸福な関係であり、強いチームのメンタリティだと思う。

このように、監督や選手の気持ちを考えてみるだけで、プロ野球を一層楽しく観戦することができる。読者の皆さんもぜひ、いろいろ想像や妄想を膨らませ、自分のベストオーダーを決めてみてはいかが?
 

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Photo credit: theqspeaks 

 

 1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライターとして活動。05年夏から4年間、英国でセルティックの中村俊輔を密着取材。現在は野球を中心に執筆。『東洋経済オンライン』で「野球界に見る、凡才がトップに登り詰める方法」を連載。著書に『人を育てる名監督の教え すべての組織は野球に通ず』(双葉新書)がある。