日本のみなさんが2年以上ごぶさたの韓国の街の変化を伝えるコラム2回目は、ソウルの鍾路4街から5街にかけて広がる広蔵市場(クァンジャンシジャン)を取り上げる。
韓国の食シーンを象徴する場所としてテレビや雑誌にたびたび取り上げられたので、日本のリピーターにもビギナーにもよく知られているはずだ。
観光客が行くところというイメージが強いかもしれないが、昼間は買い物帰りの主婦や女子学生がランチや間食をしたり、夜はサラリーマンが一杯やったりと、地元の人にも愛されている。
目立つテイクアウト商品
鍾路5街駅7番出入口から広蔵市場の東門は目と鼻の先。アーケードの真ん中に連なる屋台街はコロナ前と変わらない。客入りは今ひとつといったところだが、テイクアウト客が多いのでかなりの賑わい。
屋台の店頭にパックされた海苔巻き(約300円)が山積みになっているのがいかにもコロナ禍という感じだ。
東門から西へのびる通りと南門1からのびる通りがぶつかる三角形の角地が広蔵市場のセンターフロントだ。
ここの屋台の主人(女性)は筆者が記憶する限り、少なくとも20年はこの座をキープしている。カメラを向けてもまったく動じない、堂々たる風格だ。
この辺りではポリパプ(麦ごはんと野菜のビビンパ、約500円)を出す屋台群も健在だった。ある時期、広蔵市場名物といわれた食べ物である。
変わらぬ人気のピンデトッ、ミシュラン効果でユッケも健在
センターフロントの女将の右手の方向には、手で石臼を回してひいた緑豆を丸くして油で揚げるピンデトッ(緑豆チヂミ、約400円)の店がレトロブームも手伝って大繁盛だ。やはりテイクアウト客が目立つ。
韓国が貧しかった60~70年代、脂っこいものに飢えていた時代のごちそうだ。外はカリっと、中はふわっとしている。マッコリと相性がよいので私のような飲兵衛はつい喉が鳴ってしまう。