東銀座で味わう、知る人ぞ知る絶品韓国グルメ「プゴク」

昨年末(2021年)、『たらちゃん』という韓国料理店が東銀座にオープンした。

といってもあの国民的人気アニメの“タラちゃん”とは無関係。韓国語で「プゴ」と呼ばれる干し鱈を煮込んだスープ「プゴク」を飲ませてくれる専門店だ。

フォトギャラリー【すべての写真】「プゴク」専門店のメニュー&店内
  • プゴクのほか、ご飯やキムチなどがセットになっている/たらちゃん
  • これがプゴ。塩蔵していないため塩っぱくない/たらちゃん
  • 作りたてのプゴクを自家製キムチと一緒に食べさせてもらえる/たらちゃん
  • 左の白菜キムチとネギキムチを小皿にとって食べる/たらちゃん
  • 水キムチ。大根を食べ終えたら水も飲み干そう/たらちゃん
とくに看板はないが、窓に貼られた『たらちゃん』のポスターが目印

店主の高潤美(こうますみ)さんによれば、プゴクは家庭料理として韓国で親しまれているという。けれど、私を含め、ほとんどの日本人がプゴクを知らない。

「もっと親しんでもらえたらと思い、『たらちゃん』と命名しました」

高潤美さん(手前)とお手伝いの女性が店を切り盛りしている

そもそもプゴクとはどんな料理なのか。韓国の家庭ではプゴクをダシダと呼ばれる即席の出汁で煮込み、お好みでネギや溶き卵、豆腐を入れて食べるらしい。

「専門店では牛テールでとった出汁を使っています。私は日本の出汁に使われる乾物でとった出汁でプゴを煮込んでいます」

『たらちゃん』は朝7時オープン。高さんは5時過ぎに店に入り、出汁の入った大鍋でプゴを煮込み、スープベースを用意する。客が来るたびに卵を割り、溶き卵を作る。小鍋に移したスープベースに豆腐と溶き卵を入れ、一人前ずつプゴクを仕上げる。大鍋でプゴクを作ったほうが簡単で楽なはずだが、高さんはそれを良しとしない。

「作りたてを食べてほしいので、一人前ずつ作るようにしています」

右の大鍋で作ったスープベースを小鍋に移し、プゴクを仕上げる

透きとおったスープにはプゴがごろごろ入っていた。高さんが愛用するプゴは塩漬けしていないため、プゴを食べてもほとんど塩味を感じない。

そのかわり、乾燥させた鱈特有の、奥深い味わいが口いっぱいに広がった。

これがプゴ。塩蔵していないため塩っぱくない/たらちゃん

高さんのプゴクは具こそシンプル。けれど、乾物でとった出汁とプゴの旨味も加味された、滋味あふれるスープが五臓六腑にしみわたっていく。

「お好みでオキアミやエゴマの粉末を入れてください」