美容や健康、ダイエットにもおすすめ!

メニューはプゴクのみ(税込1100円)。高さんが作った白菜キムチとネギキムチと水キムチも、ご飯と一緒に食べさせてくれる。

この日、白菜キムチを作るところを見せてもらった。塩漬け後、塩抜きをした白菜をヤンニョムと呼ばれる、唐辛子ベースの調味料に漬ける。

プゴクのほか、ご飯やキムチなどがセットになっている/たらちゃん

じつはこの取材の4日前、ある方が主催したキムチ教室に参加したのだが、「白菜をヤンニョムに漬けたら10日ほどねかせて発酵させる」と習った。その話を高さんに伝えたところ、「私の白菜キムチはすぐに食べられる」というのだ。

キムチづくりの様子/たらちゃん

「私の母もねかせて発酵させるキムチを作っていました。でも、韓国の伝統的なキムチだと日本人には味がきついかもしれないと思い、ねかせないキムチのレシピを自分で考えました」

左の白菜キムチとネギキムチを小皿にとって食べる/たらちゃん

ヤンニョムにはニンニクも入ってるが、大量には使っていないとのこと。キムチ教室で私が作った白菜キムチと比べると、ニンニクの香りはほとんどしない。

韓国ではねかせて作るキムチが主流だが、高さんのようにねかせないキムチも食べられているという。オモニの数だけキムチのレシピがあるようだ。

「でも、水キムチは3日ねかせて発酵させないとあの味にはなりません。大根を食べ終えたら水を飲み干してください」

プライベートで年末に伺ったときは9割が女性客だった。韓流ブームもあり、韓国グルメ好きな女性がプゴクを食べにくるのかもしれない。ところが、調べてみたらプゴクには女性にとって嬉しい効能があることがわかった。

プゴは高タンパク質で、加熱すると身がほぐれやすく、消化もいいらしい。またプゴはビタミンが豊富で、カルシウムや鉄分も含まれていることに加え、低カロリー。美容や健康にも良いだけでなく、ダイエット効果も期待できるようだ。

「韓国では二日酔いの酔いざましとして朝プゴクを飲む人も多いです」

干し鱈は日本や韓国だけでなく、欧州でも昔から作られてきた。フレンチのシェフから聞いたのだが、南仏にも干し鱈を使ったブランダードという煮込み料理があるという。

南フランスでなぜ干し鱈なのか。かつて欧州各地で活躍したバイキングは干し鱈を船に積み込み、航海を続けた。バイキングが保存食として食べてきた干し鱈が南仏にも伝わったという説がある。

さすがのバイキングも東洋には来ていないはずだが、干し鱈が人類にもたらした食文化に思いを馳せながらプゴクを食べるのもおもしろいかもしれない。

プゴクを食べると身体がポカポカしてくる。寒い日がまだまだ続くこの時期、医食同源を掲げる高さんのプゴクを食べて健康と美容を維持しよう。

嬉しいことに、プゴク以外はご飯もキムチもすべてお代わり自由。

世の中の男性に告ぐ。プゴク未体験の淑女を『たらちゃん』にエスコートし、その効能を伝えればきっと喜んでくれるはずだ。貴殿の株があがるかも。もちろん二日酔いの貴殿にもおすすめする。

【たらちゃん】
住所/東京都中央区銀座3-13-5 鈴木ビル 1階
電話/ 03-6278-7780
営業時間/7時~14時(スープ売切次第閉店)
定休日/土日祝日
※キャッシュレス(店入口にある券売機でクレジットカードや電子マネーで支払う)

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。