「551蓬莱」創業者の孫が開業、「東京豚饅」の実力は?
大阪で豚まんといえば「551蓬莱」。関西へ出かけた人の多くが、白地に赤字で「551HORAI」 と描かれた紙袋を大切そうに抱えて帰ってくる。筆者も伊丹空港や新大阪駅、京都駅で買った豚饅を持ち帰った経験が何度もある。
ところが。
コロナ禍で関西旅行も出張もままならず。大好きな豚まんを食べる機会が激減。そんな矢先の11月25日、恵比寿に「東京豚饅」がオープンした。「551蓬莱」の創業者の孫が開業した豚まん屋である。
オープン初日は大勢の豚まんファンが詰めかけた。筆者が開店直後に覗いたところ、200人ほど客が並んでいただろうか。
ひと息ついた12月7日、取材させていただくことができた。オープンは11時30分。その30分前から1時間ほど豚まん作りを見学させてもらった。
開店前、その日の朝セントラルキッチンで作った皮用の生地と餡が店に届く。それを8畳ほどの厨房で3人のスタッフが豚まんに加工。15分蒸したものを店頭で販売している。ちなみに「東京豚饅」では皮を“ネタ”、餡を“カヤク”と呼んでいる。
仕込みは8時スタート。筆者が厨房に入ったときは、包み終えた豚まんが所狭しと並んでいた。
豚まんをセイロにのせ、2台の蒸し器に積み上げる。1枚のセイロに並べる豚まんは16個。1台の蒸し器に6枚のセイロを積み重ねていた。つまり、マックス192個の豚まんを蒸すことができる寸法だ。
タイマーが鳴る度に、熟練スタッフが蒸し上がったセイロを1枚ずつ蒸し器から下ろしていく。まだ湯気が立ち上っている豚まんを冷まし終えると、別のスタッフが「東京豚饅」と描かれた箱に次々と豚まんを詰めていく。
用意した豚まんがなくなると、皮に餡を包む作業を再開する。
手切りにした生地を1個ずつ切り分け、皮を作る。それを手のひらに広げ、餡をのせて包む。2人が豚まんを作りながら、もう1人がセイロに経木(豚まんに敷く薄い木の板)を並べ、包んだばかりの豚まんをその上に重ねていく。
16個並び終えたらセイロを蒸し器にのせ、タイマーをセット。
豚まんを包む、セイロにのせて蒸す、蒸し上がった豚まんを冷まして箱に詰める。この作業がほぼ同時進行。息をつく暇もなかった。厨房は、まさに“戦場”だった。