SDGsフードロスの取り組み

以前行われたつま正のマルシェの様子

――昨今、SDGsでフードロスの問題も世界的に言われていますが、つま正さんではどんな取り組みをされていますか?

小山 うちは野菜の販売だけではなく加工する技術も持っているので、今後の新しい展開としては、例えば大根の皮の部分も捨てずに、有効活用したいと思っています。

つま正の“つま”は大根のつまから来ていますが、野菜の加工を行う際に出る皮や葉、芯などの部分を煮出して野菜出汁を作っていて、この春には販売できるようにしようかと。

「ベジブロス」ということで、顆粒のものが多く流通していますが、液体でそのまま飲んでいただくものにしたいなと。食前や食中に飲んだり、食事の代替品として取ってもらえればいいなと思っています。

有隣堂本店マルシェで販売される注目の野菜は?

――来る有隣堂本店マルシェでは、ホテルクオリティーの野菜「プチヴェール」、「有機ごぼう」、「湘南ゴールド」「アグリドリームスーパーフルーツトマト」の4種を販売されるそうですね。

小山 例えば神奈川で開発された湘南ゴールドは、ご存知の方も多いと思いますが、今回みたいにプロモーションをしないかぎり、あまり手に取っていただけないんです。本当においしいから、そこから裾野を広げていきたい。

ただ、地産地消も大事ですが、僕は特に地元野菜だけにこだわっていません。

なぜかというと、産地の旬は移行していくので、マルシェの日取りに合わせるというのはナンセンス。そこは幅広く捉えて、旬のおいしいものを紹介していきたいです。

神奈川以外の地方でつくられている伝統野菜や新種野菜の中にはまだまだ消費者に知られていないものが沢山埋もれているんです。

そんな野菜たちを是非知っていただきたいですし、お客様が知れる機会を今後もたくさん設けられたら、と考えています。

――ちなみに、湘南ゴールドは、どんな食べ方がおすすめですか?

小山 湘南ゴールドはみかんなのですが、どうしても皮をむき過ぎちゃうんです。でも、実はあの白い綿の部分が甘いし、栄養があるので、実と一緒に食べていただきたい。料理の工程などよりも、サラダなどでみかんとして食べていただきたいです。

また、海外のレモンだと、ワックスがいっぱいかかっていますが、湘南ゴールドは皮の部分をそのままジャムにしたり、砂糖で煮込んで食べてもらいたいです。

レモンティーのようにしてもらってもいいですね。3~4月が一番旬の時期を迎えるので、この時期ならではの甘くてジューシーな味わいを活かした食べ方をおすすめします。

有隣堂本店マルシェが目指すもの

――最後に、今後の展望についても聞かせてください。

小山 正直なところ、次なる展開としては、今回の有隣堂さんとのお付き合いのなかで見えてくるんじゃないかなと期待しています。

次世代のことで言えば、やはりオムニチャネルというか、有隣堂さんのマーケティングを一緒になって誘発できるようなところまで行けるといいなと。そこはオンラインとオフラインとの接合部分でもあったりもします。

今、弊社はベイクォーターでもマルシェをやっていて、LINEの公式アカウントで、次の野菜はこれで、こんな食べ方ができますといったご案内をしていますが、そういうふうにつながっていけたらいいですね。

鈴木 本当にそう思います。有隣堂でいえば、本店の店頭には花屋がございますが、野菜を売るのは初めてです。

一度、立川での催しで、催事会場の中の屋台でお野菜を売らせてもらったことはありますが。その時はマルシェ的な雰囲気でしたが、今度はいわゆる書店での販売ということで、本当につま正さんに助けていただいてる感じです。

お客様からしたら「あれ、なんで有隣堂で野菜を売ってるの?」と不思議がられると思うのですが、本が心や頭の栄養だとすると、野菜は身体によい、栄養があるというイメージが強い点で書店での販売に関しては相性がいいと思っています。

野菜を販売するスキルはありませんが、そこはつま正のスタッフさんがやりとりをしてくださるので、そのトークを私たちも勉強させていただけたらと思っています。

小山 あまり難しいことは考えずに、まずは実直にできるところから始めさせてもらうという感じですね。

野菜自体の特異性や、シーズンによっても料理の仕方が変わってくるので、そういうバックストーリーもどんどんご案内し、徐々にブラッシュアップしていけたらなと。

また、これが形にできれば、これを1つのたたき台にして、もっと全国的にも展開していきたいし、最終的には野菜の価値の向上になればいいですね。

鈴木 私としては、書店の店頭で野菜が売られているという非日常をお楽しみにしていただけると、いいのかなとも思います。

そこで、なぜなんだろうと思いつつ、野菜を買って帰り、お家で食べたらすごくおいしかったり、気づかないうちに健康になっていたら一石二鳥かと。

また、気づかないうちに生産者さんたちとの繋がりも感じていただけたらうれしいです。

有隣堂本店マルシェ

開催日時:3月5日(土)10:00~13:00

※なくなり次第終了 ※今後、月1(第一土曜日)での開催予定。
会場:有隣堂 伊勢佐木町本店(神奈川県横浜市中区伊勢佐木町1-4-1)
アクセス:JR根岸線・市営地下鉄「関内」駅/みなとみらい線「馬車道」駅徒歩10分

映画とお酒をこよなく愛するライター、時々編集者、なんちゃってカメラマン。名古屋の女性向けエリア情報誌でグルメ、旅物、珍スポット、珍体験特集まで幅広くこなした後に上京し、フリーに。現在は、映画のインタビューや記者会見などをメインに執筆。マイ・ベスト・ムービーと座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』