『妖怪ウォッチ』が長期間にわたって子どもたちに愛されている理由

――声で今回参加されて、『妖怪ウォッチ』が長期間にわたって子どもたちに愛されている理由も分かりました?

「大人たちがちゃんと遊び心を持って、楽しんで作っているのが伝わるんだと思います。ただ、カッコいいだけでも面白いだけでもなくて、ちゃんとメッセージもあるし、そのバランスが絶妙なんですよ」

――妖怪繋がりで鬼太郎を共演させる今回のアイデアも、普通は「できない」って諦めちゃうと思うんですけど……。

「それができちゃうところが、やっぱりスゴいです」

――ちなみに、千葉さんは妖怪や幽霊はいると思いますか?

「思わないです(笑)。でも、好きでした。それこそ、小っちゃいときは図書館で水木しげるさんの『妖怪図鑑』などをよく読んでいましたから」

――どの妖怪が好きでした?

「キムジナーとか、今回の映画に登場するものだったら一反もめんが好きです。

一反もめんに乗りたいって思っていたような気がします(笑)」

千葉雄大の“シャドウサイド”=2つめの顔

――幼稚園とか小学生のころはどんな子どもでした?

「けっこう外で遊ぶ子でした。それこそ、鬼ごっこやケイドロ(警察と泥棒)をみんな遊びをよくしていたし、小学生のときは学級委員とかもやる子でした」

――では、そのまますくすくと今日まで成長してきた感じなんですね。

「いや、それがそうでもなくて。高校時代はストレス社会で、僕の“シャドウサイド”って感じでした。

それこそ、僕は霊感も全然ないですけど、地元の宮城に住んでいるころは金縛りによくあって、あるときなんて、金縛りにあった僕の顔に向かって大きなカエルが這ってきたこともあるんです(笑)。

それが夢だったのか何なのかは、いまとはなっては分からないですけどね」

――映画やドラマの撮影でも、後から参加する場合がありますよね。

「苦手です。お仕事はもちろん問題なくできますけど、コミュニケーションをとるのに苦労します」

――そういったところは、今回の心を閉ざしていた時期のトウマと重なりますね。

「そうかもしれない」

――相手が手を差し伸べてくれたら、輪の中に入っていけるんじゃないですか?

「そうですね。だから、甘えているところもあると思います。幾つになっても変わらないですね(笑)」

――でも、そういうところは誰しもあるでしょうし、心を閉ざしたトウマに共感する人も多いと思います。

「自分の思っていることをなかなか言えなかったり、“自分なんか…”って思うことで気持ちを楽にさせている子はけっこういると思います。僕もそうだったから、トウマの孤独や寂しさはすごく理解できましたね」

30年後=58歳の千葉雄大は何をしていたい?

――今回の映画はこれまでのシリーズの30年後を描いていますが、30年後の千葉さんはどんな俳優になっていると思いますか?

「58歳ですよね。いや~俳優を続けているかどうかも分からないですけどね。う~ん、南の島でゆっくりしているのもいいかもしれない(笑)」

――まだ可愛いキャラで売ってますかね?

「あっ、それもいいですね。まだ、おじいちゃんの年齢でもないですし、孤独じゃなければいいですね(笑)」

――2017年はどんな年でした?

「2017年はドラマから映画、舞台まで幅広くやらせていただいた年でした」

――朝ドラ「わろてんか」ではヒロインの兄・藤岡新一役を演じられましたが、あの突然の死にはビックリしました(笑)。

「台本にそう書いてあったから僕は最初から知っていたんですけど、『死ぬ』ということを周りの人に言えないのが辛かったです。

それこそ、あの時期はいろいろなことをやっていたから、『朝ドラは大阪で撮ってるんですよね。それは忙しいですね』ってよく言われていたんですけど、死ぬことも撮影がすでに終わっていることも言えなくて、忙しい人のふりをするのがちょっと辛かったです(笑)」

2018年はどんな年にしたい?

――2018年はどんな年にしたいですか?

「毎回、何かしら挑戦していかないと成長できないので、新しいことや苦手だなと思うことにも挑戦していきたいですね。それに、20代最後の年ですからね。

『30代になっても何も変わらないよ』とよく言われますけれど、10の位が変わるので、ちょっと意識はします」

――30代になったら、学生の役や青春っぽい作品ができなくなるかもしれないですね。

「いや、僕はちょっとイレギュラーなので、もうちょっと、キラキラ系も頑張ってやっていきたい。

最近は“伝統芸”と呼ばれている僕のそういった部分はもう少し活かしていけたらいいですね(笑)」

『妖怪ウォッチ』の斬新で楽しい世界観と絡めながら、自身の過去と現在、未来を独自のテンションとイメージを損なうことなく語ってくれた千葉雄大さん。

今回の映画は、そんな彼が言うように、大人も忘れていた感動や興奮を思い出して熱くなれるものになっている。

チビッコはもちろん、かつてチビッコだったあなたも映画館でジバニャンや鬼太郎と大冒険を繰り広げてみてはどうだろう?

映画ライター。独自の輝きを放つ新進の女優と新しい才能を発見することに至福の喜びを感じている。キネマ旬報、日本映画magazine、T.東京ウォーカーなどで執筆。休みの日は温泉(特に秘湯)や銭湯、安くて美味しいレストラン、酒場を求めて旅に出ることが多い。店主やシェフと話すのも最近は楽しみ。