産後のママに極度の睡眠不足はつきものです。寝たいときに寝られない、身体は疲れているのに目がさえて眠れないなど、眠りに関する悩みはさまざまです。

多くのママは、産後は眠れないのが当たり前とあきらめて、気力で乗り切っているのではないかと思います。

ですが、産後の睡眠の質は工夫次第で改善できるのです。

産後の睡眠の質を少しでも上げる習慣や積極的にとりたい栄養素などについて、大正製薬株式会社セルフメディケーション開発研究所の對馬 千沙都(つしま ちさと)さんにお話をうかがいました。

睡眠不足から生じる3つの危険とは?

産後は睡眠不足になりがちということは知っていても、いざ産後を迎えて、ここまで眠れないのか、と驚いたママも多いのではないでしょうか。

特に母乳育児の場合、真夜中に数回は起きなくてなりません。となると、今まで取っていたようなまとまった睡眠は取れなくなります。

「いつか終わるから」「たかが睡眠」とあなどるのはNGです。それが半年続くのか1年以上なのか、先の見えないトンネルに入ったような生活を続けていれば、どんなに健康だった女性でもだんだん心身への悪影響が出てきます。

寝不足が引き起こす症状としては大きく3つ挙げられます。

  1. 頭痛
  2. 自律神経の乱れ
  3. 産後うつ

頭痛は本当につらいもの。ですが、産後は赤ちゃんがいますから「寝込むわけにはいかない」と我慢してしまうママも多いのではないでしょうか。

慣れない育児の緊張がとけず、睡眠不足によるだるさや倦怠感が重なる生活が続くと、慢性的な頭痛を引き起こすおそれがあります。

この頭痛は眠れずに交感神経が優位になることで、肩や首が緊張状態になってかたまってしまうことが原因のひとつとされています。

よい睡眠には自律神経の切り替えがうまくいくことが大切です。

一方、睡眠不足は自律神経の乱れを引き起こします。めまい、倦怠感、ひどい場合は吐き気、動悸などの症状が現れることもあります。

さらに怖いのは、心への影響です。睡眠不足はうつ病のリスク因子のひとつであり、産後の睡眠不足は産後うつのリスクにそのままつながります。

今だけだからとがんばっていると、ある日突然心が折れてしまうことにもなりかねません。