――お話を伺っていると、そこまで過剰に心配する必要はないのかなと。
まあ何をもって“恋愛”と受け止めるかですよね。いくら「○○くんが好き」と言ってても、一緒に遊んでいて楽しいとか、そういう気持ちを全部含めて「好き」と言ってるのがほとんどで、別に「真剣にお付き合いを」と言ってるわけじゃないんですから(笑)。
そういう意味で、こちらからけしかけたりしないようには気をつけていますね。もし「私、○○くんが好き」と言われても、「じゃあ将来、結婚するの?」といった煽るような反応はしないようにしています。あくまでも自然に受け止める感じです。
「好き」と盛り上がるのは、圧倒的に女の子の方が早いです(笑)
――ちなみに「好き」と言い出したり、友達同士でそういう話で盛り上がったりし始める年齢に男の子と女の子で差はありますか?
それは確実にあります。圧倒的に女の子の方が早いです。あれは、なんでなんでしょうね? 同性として男の子を見ていると哀しくなるくらい(笑)、女の子の方が早いです。
というか、女の子同士で「○○くんが好き」「私は■■くん」みたいな会話をしてるのは見ますけど、男の子同士でそういう会話をしているのは、僕はあまり、見たことがないですね。
女の子の方が、お母さんとそういう会話をすることが多いんでしょうかね? 「クラスで誰がカッコいいの?」とか。お母さん方は、わりとそういう会話がお好きですし、お父さんは逆に聞きたくないでしょ(笑)?
娘は娘で、そういう会話でキャッキャと弾んでいるお母さんを見て、嬉しくなるところもあるのかなと思います。
――保育園でも5歳、6歳児になると個々人の成長差が大きい場合もあるのでは? 周囲と比べて特別に大人びている子がいる場合もあるのでは?
いい意味で大人びている子はいますね。それこそ5~6歳にして小学2年生くらいに思えるような子がいたり。ただ、そういう子はその分、うまく立ち回る術も持っている場合が多いので、特別に周囲から浮いたりすることはないですね。
子どもたちの恋愛的な感情が成長するにあたって、実は同じくらい、羞恥心も発達するんですよね。恋愛的な側面ばかりが伸びちゃう子ってあまりいないんです。
だから、周りに見られると恥ずかしいという感情も気持ちもあるし、たとえ家でチューしてても、それをそのまま保育園でやってもいいんだって思うような子は、あまりいないんです。
――確かに、これが小学生となると、完全に羞恥心の方が勝ってしまいますね。その意味では、保育園のごく一時期の微妙なバランスがもたらすものなのかもしれないですね。
葛藤と言うと言い過ぎでしょうけど、「○○くんが好き」という気持ちを素直にオープンにできる感情と「恥ずかしい」という思いが絶妙なバランスをとっている特別な時期なんでしょうね。
子どもたちのかわいい初恋、煽らず、心配しすぎず、まずはじっくり子どもたちのコイバナに耳を傾けて、この時期特有のかわいらしいものだと温かく見守ってあげてみては?
てぃ先生
現役の保育士として園児たちの言動をTwitterで発信し話題 に。それらをまとめた書籍「ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえん か。」を刊行。「顧問保育士」としても活動中で、 自ら監修を務めるなごころ保育園が2018年、 愛知県に開園予定。