男の子への接し方で大切な「2つのこと」

——今津さんは、男の子たちに対してどのように接しているのでしょうか?

今津「男の子に対して僕が大事にしていることは2つあります。

一つは“共感”という技を使うこと。『◯◯したかったんだよね』というものです。そして、もう一つは『そういう生き物だ』と割り切って接することです。

男の子は、“予想不可能な生き物”。その認識を大前提として持っておくことが大事だと考えています」

——なぜ「共感」と「割り切り」を行っているのでしょうか。

今津「男の子は“頑固”で“衝動的”で“不器用”です。私自身もそうなので。これは大人になっても変わらないかもしれませんね。

共感と割り切りで対応している理由は、男の生態を理解したうえで、それを受け入れて子育てしたほうが断然楽しいからです。僕は子育ても保育も楽しんでいます。

そして、保育者だからこそ身についている大事な部分が“共感”だと思っています。人間、誰しも否定ばかりはつらいものです。だから、一度は“共感”してあげる。これは保育の基本でもあります。そこが抜け落ちると『もう!』『なんで?』という気持ちしか出てきませんからね。親も子どももつらいだけです。

男の子は、ネタとケガが尽きません。実際、不可解な行動をネタとしてためておけば一冊の本があっという間にできあがるでしょう。ケガは勘弁してほしいですけどね」

——日々、男の子と一緒に生活していると、電車の中で大声で話をしたり、じっと座っているのが苦手で歩き回ろうとしたり、外で急に思わぬ方向へ走り出し、交通事故にあいそうになったり、親子でのお出かけ先や家庭で落ち着きを失い、騒いだりと困るシーンって多いですよね。

そこで日々、困っているママ・パパ向けに、落ち着きがない男の子への接し方の具体的なアドバイスをいただきました。

今津「保育の現場で先生から怒られているのはたいてい男の子です。この前は友人の息子が家のゴミ箱に向かっておしっこをした話を聞きました。男の子ってこういう生き物なんです。特に異性であるママの常識では図れない生き物なんです。

当の本人たちは、落ち着きがないと見られている行動を意図的にやっているわけではないから、困ったものですよね。

だから、その子の興味の先を予想しましょう。例えば、うちの子はすぐに高いところに登ります。気づいたら、カウンターテーブルの上や薪ストーブの上に登っています。定期的に“猿”の血が騒ぐようです。

僕は『机から落ちるかもしれない』と常に予想していますから、咄嗟に手が出やすい体勢ができています。それでも予想外が多すぎて顔面のケガは絶えませんが……。本人は『いてっ』と言って泣いていますが、数時間後には忘れて同じことをしています。

何度も言いますが、男の子はそういう生き物なんです。そこをしっかりと割り切ると、けっこう楽になります」