浮気だとわかっていても

「この同期の女性に、その後もいろいろと気持ちを打ち明けました。

彼女を信用するなら元彼との関係くらい大目に見ろ、と男性の同期は言うけど、『僕に黙って会いに行く時点でこっちが信用されてないじゃないか』という気持ちが消えなくて。

それを言うと、女性は『元彼との関係を彼女さんがどう考えているかによるけど、後ろめたくないなら普通は彼氏に話すよね』と言ってくれて、共感してもらえるのがうれしかったです。

彼女とは僕から連絡すると会う約束ができるけど、積極的じゃない様子を見ると『もしかしてまた元彼に会っているかも』と不安になるし、いつまでこうなのか、中途半端な状態にストレスを感じていました。

それで、この同期の女性につい甘えるというか、寂しさを紛らわせるためにLINEを送り、彼女以外の話題で盛り上がると楽しくなって、いつの間にかプライベートなこともあれこれと話せるようになりました。

連絡が来ない彼女より、同期の女性のほうが距離が近い気がして、罪悪感なんかも気にならなくなって。

あるとき、勇気を出して食事に誘ったら『彼女さんに悪いから、お茶だけね』と返してくれて、ふたりきりで会うことが決まりました。

『これは浮気かも』とちらっと考えたけれど、『どうせ向こうも元彼がいるし』と無理やり割り切るようにしましたね。」

初めて頭をよぎった「別れる可能性」

「このときは、彼女と別れるとはまだ考えていなくて、時間が過ぎることに身を任せていた感じです。

同期の女性とは、結局すぐ食事やカラオケに行くようになったけれど一線を超えるようなことはないし、好意はあるけどやっぱり彼女のことが好きでした。

気持ちが変わったのは、女性から『ちゃんと話し合ったほうがいいよ』と言われて彼女に連絡したら、

『会うのはいいけど、ややこしい話はやめてね』

と返されたときです。

先日会ったときもモヤモヤからつい元彼との関係を尋ねていて、『何もないってば』と彼女は答えていたけど面倒くさそうな雰囲気でした。

それの後のこの態度に、『彼女のほうは僕との関係をまともに考えていないのだな』と思うと一気に愛情が萎えて。

初めて別れる可能性を考えて、このとき浮かんだのが同期の女性です。

しっかりした人だから彼女がいる僕とは絶対にこれ以上親密な関係にはならないだろうし、僕はすでに浮気だと自覚しているけど、この人と向き合いたいと思いました。」