【ヘッケルン】 いまどき珍しいサイフォンで淹れるブレンドコーヒーは一杯400円

フランス料理を10年修業後マスターに

料理は、ヘッケルン開業前の1961年から10年間修業した『アラスカ』で学んだ。

アラスカは、のちに『ホテルオークラ』の総料理長になる小野正吉さんが働いていたことで知られるフランスレストランだ。

森さんが入店した年に小野さんはホテルオークラ開業準備のためにアラスカを去った。

当時アラスカは都内各地に店舗があり、森さんは日比谷店の厨房でフランス料理を研さんした。

そして10年後独立。レストランを開業しようと試みた。

ところが。

「資金が50万円足らず、レストランではなく喫茶店をオープンしたんだ」

【ヘッケルン】

森さんが作るフランス料理を食べてみたいものだが、それはさておき。

ヘッケルンのマスターにおさまったからこそサンドイッチやプリン(アラスカ仕込みの味だと思いたい)をコーヒーと一緒に味わうことができる。

【ヘッケルン】 半袖に蝶ネクタイでエプロン姿が森マスターの正装

80歳! 元気の秘密はどこにあるのか?

森さんは朝5時から閉店後の21時まで16時間立ちっぱなし。

真夏だろうが、真冬だろうがいつも半袖。声も大きく、いつもパワフル。

御年80歳。元気の秘密はどこにあるのか。

【ヘッケルン】

「元気の秘密? 動くことだね。休日は家でじっとしていないのが息抜き。銀座の画廊を覗いたり、フランス料理を食べに行ったり、コーヒーを飲みに出かけたり。一番好きな場所は動物園と水族館」

上野動物園かと訊いたら即座に否定された。

「旭川市旭山動物には二度行ったし、山形県の加茂水族館(クラゲ水族館として有名)、沖縄美ら海水族館にも行ったよ」

元気の素が動くこととは思わなかった。

賢明なる読者諸君、森さんを見習い、元気に動き回ろう。森さんに会えば、元気の素をもらえるかもしれない。

【ヘッケルン】

【ヘッケルン】

 

住所/東京都港区西新橋1-20-11安藤ビル1F
電話/03-3580-5661
営業時間/8時~19時(土曜~17時)
定休日/日祝日、第2土曜

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。