子どもの習い事や早期教育が流行っている昨今、「頭の良い子になってほしい」とわが子に期待するママもたくさんいますね。

けれども、机上の計算問題が正解できるだけでは不十分。知識を生活に活かせてこそ“本当に頭のいい子”なのかもしれません。

そんな子に育てるには、幼い頃にどんな体験をさせたら良いのでしょうか?『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。

幼児期はまだお勉強が始まりませんから、身に付けた知識を日常で活用できるかどうかは見えてきません。けれども、小学生になると、それらが育っているかわかることがあります。

それは机上の学習だけでなく、体験を積んでいるかどうか。机上の勉強をする前の“先行体験”があると、解答を導きだすことができます。

計算問題が出来ても文章題でつまずく子

体験がないとつまずいてしまう

小学生1年生の算数の文章題を与えると…ヒントになるキーワード、例えば「足すといくら?」「合計は?」「合わせて?」「全部で?」だけを拾って計算式を作る要領の良い子がいます。

また「教科書は足し算の単元だから、このプリントの文章題は全部足し算に違いない」と見通す子もいます。

この要領の良さも“一種の世渡り術”ですね。でも、これでは身についた計算力を活かしているとは言えず、どこかで壁にぶつかってしまいます。

ある子の例を挙げます。

幼児期から学習塾に通っていて、幼児期から“34+27”などの計算問題をスラスラできる子がいました。

ところが、小学生になって次の文章題に苦戦していました。

“僕は100円玉を持ってお店に買い物に行きました。お店の人から30円受け取りました。いくらのものを買ったのでしょう?”

この問題にはキーワードとなる「足す、引く、合わせて、合計、残りは」などの言葉がありません。文章を読解して足し算すればよいのか、引き算すればよいのか導き出さなくてはならない問題です。

この子は買い物をする体験がなかったので、状況を想像することが出来ず、式を立てるのが難しいようでした。

身についた計算力を活かすには、それを使う場面を体験させていることが大切ですね。

キーワードがあっても間違えることも

“ダイコンは1本3円でした。2本買ったら全部でいくらになるでしょう?”

数字だけを拾って式を立てる子は「わあ、キーワードの“全部でいくら”がある!」と早合点して“3+2=5”と書いてしまいます。これは結構やってしまう間違いです。

でも、状況を想像出来れば、この式は立てないでしょう。

正解は“3+3=6” 答えは 6円です。

体験があると、こんな風に考える

ある子が問題とにらめっこしていて、なかなか鉛筆が動きませんでした。そこで「この問題の意味がわからないの?」と尋ねてみました。

すると返ってきた答えは「3円のダイコンなんか売っていないよ」親と買い物する体験があるのでしょう。値段の相場をよく知っている子でした。

また、あるとき小学校2年生に同じような問題を与えてみました。

“ダイコンは1本90円でした。100本買うにはいくら払ったらよいでしょう?”

ある子はなかなか解答しません。なぜ解答しないのか質問すると、「大根を100本買って一体何をするの?」と言うのです。確かに居酒屋をやっているなどでなければ100本買うことはまずありません。

「体験があるんだなあ」と感じました。

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