3.「頭に残らない」記憶系脳番地が未発達なタイプ
生後数カ月は聞こえに問題がなくても、徐々に言葉の発達の遅れが出てくる場合、記憶系脳番地の働きの弱さに関係があるかもしれません。
聞いたことが頭に残らないのは、記憶系脳番地のなかでも海馬と呼ばれる部位の成長に原因がありますが、男の子は女の子に比べて海馬の成長が遅い傾向にあるからだそうです。
我が子がなぜ聞けないかがわかれば、対処方法も変わっていきますよね。
たとえば、視覚系脳番地が発達している子どもだったら、今までテレビで見ていたスポーツの試合を、ラジオ中継で聞いてみてはいかがでしょうか。未発達だった部分の脳の働きが動き出すかもしれません。
聞く力はすべての基本?
聴覚系脳番地は、他の脳番地とのネットワークによって、連動して成長する傾向があります。
聞く力がないことで、ただ話が聞けない、覚えられないといったことだけでなく、言語能力やコミュニケーション能力まで育ちにくくなるというのですから、聞く力はすべての基本と言ってもいいかもしれませんね。
加藤先生によると、聴覚系脳番地の働きが弱いと、スケジュール通りに行動できなかったり、キレやすくなったり、熟考する力がつかなかったり、と社会生活を送る上で、いろいろと支障が出てくるというではありませんか。
そうなった時に、焦ってガミガミ叱っても、その子に聞く力が備わっていないままであれば、効果がないばかりか、また困った行動をして、また叱って……という負のスパイラルにはまりかねません。
では、聞く力はどうやって育てればいいのでしょうか?
子どもの聞く力は親が伸ばせる!
子どもが聞ける脳になるかどうかのカギは、家庭にある、と加藤先生。
えっとひるんでしまいそうですが、大丈夫、特別な能力を身につける必要はないんです。
子どもになにか伝えたら、すぐにリアクションが返ってこなくても、「ちょっと待つ」ことをしてみてください。さらに、話しかけたあとの子どもの状態をよく観察しましょう。
ママに多いのが、口だけで注意して、子どもの方をまったく見ないママ。家事の手を少しだけ休めて、子どもに目と気を配ってあげてください。
子どもの脳は、言われたことをすぐに行動に移せるほど発達していません。そのことを踏まえて、まず待つことで、子どもの脳の活性化を促しましょう。
ガミガミと、同じことを機関銃のように発しまくると、いやだ! という感情系脳番地ばかりが発達してしまいます。
子どもの可能性を伸ばしたいなら、待つこと、そして余計な言葉をかけないことです、と加藤先生は断言します。
未発達な子どもの脳に必要以上の言葉をかけることは、情報を処理できずにフリーズしてしまう、もしくは感情が高ぶって爆発してしまうことにつながるからです。
つけておきたい家庭での習慣
では、日常に取り入れられる、子どもの聞く力を育てる習慣をいくつかご紹介したいと思います。
ママが子どもに相談する
今夜のごはんは何にしようか、といった小さなことから、子どもに相談をする形でなにか聞いてみましょう。
ママに相談されること自体、子どもにとってはめずらしく、うれしいことかもしれませんよね。子どもは聞いた内容をよく考え、それは記憶に残るでしょう。