【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】全羅北道は韓国南西部に位置する全羅道の北側地域。ソウルからは高速鉄道で1時間40分ほど。高速バスなら2時間半ほどで行ける

2023年の春から特別な手続きなしで韓国に行けるようになり、10月の訪韓者数はコロナ前の2019年同月を超えるまでになった。

韓国旅行の楽しみ方が多様化し、日本からの旅行者の目がソウルや釜山以外の地方にも向き始めている今、美食と美酒を誇る全羅北道の中心都市・全州(チョンジュ)の魅力を数回に渡って紹介しよう。

フォトギャラリー美食と美酒の都、全州の「おいしいお店」を写真でさらに見る
  • 【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】「イェチョン」もマッコリタウンの人気店のひとつ
  • 【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】マッコリタウンのなかでも古株に当たる「ヨンジンチプ」。店先では、食レポのスター、ペク・ジョンウォンの来店をアピールしていた
  • 【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】「トゥヨイン」の店内。全州マッコリタウンでは、つまみを多く提供することに注力しているため、内装は飾り気がない店が多い
  • 【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】三川洞マッコリタウンの人気店「トゥヨイン」
  • 【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】今から20年前(2004年)の韓屋村。老朽化した伝統家屋が目立っていたが、今では多くがリノベされ、カフェやレストランになっている

2023年12月14日、東京港区の八芳園で、韓国の南西部に位置する全羅北道の観光誘致イベントが開催された。

プレゼンでは、全州市の韓屋村、群山市の仙遊島、益山市の宝石博物館、井邑市の内蔵山国立公園、南原市の広寒楼苑、金堤市の碧骨堤、完州郡の大芚山国立公園、鎮安郡の馬耳山道立公園、茂朱郡の国立テコンドー院、長水郡の乗馬レジャーパーク、任実郡のチーズテーマパーク、淳昌郡の釵笄山、高敞郡の高敞邑城、扶安郡の彩石江など14の観光資源の魅力が伝えられ、日本の旅行業界やマスコミ関係者の関心を集めていた。

【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】全羅北道の茂朱(ムジュ)には、世界唯一のテコンドー専門施設「テコンドー院」がある。「2023全北観光フェスタ」ではテコンドーの演武も行われた

筆者はこのイベントに先駆け、2年半ぶりに全州に行ってきた。内国人向け観光地としては韓国でも屈指の集客力をもつこの街を歩き、日本の韓国リピーターの心をつかみそうなポイントを見つけたかったのだ。

伝統韓屋村を眺められる絶景カフェ

【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】韓屋村ではレンタル韓服姿で散歩する観光客が目立つ

全州の韓屋村は、全州に行く人のほとんどが訪れる韓国式家屋の密集地区だ。その数約700棟。密集度ではソウルの北村韓屋村に勝るとも劣らない。

ただ、観光誘致に成功し過ぎた感があり、土日ともなると少々騒々しい。それを避けて韓屋村の美しさを堪能するには、少し空に近づく必要がある。

そんな場所を探して歩いていると、韓屋村の東の端にあった。5階建てのビルの4階と5階を店舗にしたカフェ、その名も「展望(チョンマン)」だ。

【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】韓屋村の東端のビル4階、5階にあるカフェ「展望(チョンマン)」

エレベーターで4階に上がり、アメリカーノ(基本のコーヒー)6,000ウォンを買う。階段で5階に上がり、テラス席に座る。

時刻は午後2時過ぎ。客入りは7分。家族連れやカップル、若い女子グループが多い。内装が気取り過ぎていないのでリラックスできる。

眼下の瓦屋根の群れが壮観だ。韓式家屋の屋根はそり返っているのが特徴。よく見ると、直線的な屋根の日本家屋も見受けられる。

【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】カフェ「展望」からは韓屋村の全容が一望できる

20年前の韓屋村には、今のようなおしゃれなカフェもレストランもなければ、そぞろ歩きする観光客の姿もなかった。

家なのか店なのかよくわからない食堂が点在する枯れた街だった。看板もない食堂にふらっと入ると、奥さんが新聞紙のエプロンをした旦那さんの白髪染めをしているところで、笑ってしまったのが懐かしい。

【美食と美酒の都、全州特集 vol.1】今から20年前(2004年)の韓屋村。老朽化した伝統家屋が目立っていたが、今では多くがリノベされ、カフェやレストランになっている

そんなことを思い出しながら、今ではすっかり葺き替えられてきれいになった伝統家屋の甍(いらか)の波を眺めた。