実験２ さらに詳しく検証を進めるべく、顔に“でんぷんのり”を塗ってみた！
●鼻の穴に“でんぷんのり”を詰め込んでみると……
チューブタイプの“でんぷんのり”を良かれと思って佐藤社長の鼻の穴に突っ込んでみる。
「プリリッ！」という小気味良い音とともに、けっこう奥へ注入。
佐藤社長の顔がさらに険しくなる。
不快度数⇒60％
●詰め込んだ後、「鼻水出てますよ？ 」と指摘してみると……
鼻から透明の“でんぷんのり”を垂らす佐藤社長に「風邪ですか？ 鼻水が出ていますよ？」と、心配してイメージアップを図ったが、冷ややかな視線が向けられた。
どうやら逆効果だったらしい。
不快度数⇒80％
●秘書とふたりがかりで“でんぷんのり”を顔中に塗りたくると……
さらに細かな反応を調査すべく、ふたりがかりで顔中に“でんぷんのり”を塗っていく。
顔に塗ろうと思ったのは、なんとなくだ。
理由がわからない佐藤社長はますます表情をこわばらせていく。
不快度数⇒100％
●“でんぷんのり”が顔から滴り落ちるほどたっぷりと塗りつけると……
“でんぷんのり”一個分、たっぷり塗ると変化が起きた。佐藤社長、ちょっと泣いてる!?
はじめはそんなに嬉しいものかと思ったが、今までの経緯から察するに、おそらく不快感からくる涙だろう。
不快度数⇒120％
●顔が汚れていたので「大丈夫ですか？ 」とボロ雑巾を差し出すと……
これ以上の検証続行は不可能と判断し、ボロ雑巾を差し出す。
3日ほど前に床へこぼした牛乳を拭いたせいか、その匂いに嗚咽を漏らす佐藤社長。
良かれと思ったこの行動に、まさか不快感を……？
不快度数⇒150％
●実際にボロ雑巾で顔を拭いてもらうと……
強烈な匂いを発するボロ雑巾で、仕方なく顔を拭きはじめた佐藤社長。
その間、鋭い視線を外すことはなかった。
まるで死肉をむさぼり食うハイエナのような顔をしている！
不快度数⇒200％
検証結果：“でんぷんのり”を食べさせたり顔に塗られると、やっぱり不快！
検証終了後、「御社との今後の取引、考えさせてもらう」と捨て台詞を吐いて立ち去った佐藤社長。秘書の方にのちほど話を聞いてみると、この日はそのまま直帰したとのこと。
社長の器であれば不快に感じるはずがない……。しかし実際は、社長でも“ でんぷんのり” をお茶菓子として提供されると不快に感じることが判明した。
さらに、でんぷんのりを顔に塗ると、不快な感情を加速させることもわかった。
そもそもでんぷんのりは何かと何かをくっつけるために使用される。それを用途外で利用したことが問題だったようだ。これを佐藤社長の顔と何か（紙くずや木の枝、コオロギの死骸など）をくっつけることに使用していれば、検証結果は大きく変わったのかもしれない。
この検証がビジネスシーンにおける、有用な判断材料となることを心から願っている。
※本記事は「ウレぴあ 2012年 1月号」(2011/11/25発売)の記事を再掲載したものです。
（取材先のプロフィールは現在と異なる場合がございます）
