気がついた自分の状態

別れた彼のことは共通の知り合いがいないためその後の情報がまったくなく、それが立ち直ることにプラスだったのは確かですが、それでも、「過去の彼」に振り回される自分がつらかったと圭子さんは振り返ります。

「ひとりで過ごしている夜とか、彼に電話して文句を言ってやりたい衝動とか湧いてきて、大変でした。

拒否設定されているのでつながらないだろうけど、今の怒りをぶつけて傷つけてやりたい気持ちがあって、そんな自分にまた嫌になって、気を紛らわせるために友人に連絡をしていましたね……」

相手が不在のまま、自力で消化しないといけない怒りは、扱いを間違えるとかえって自分を追い詰めます。

そんな圭子さんを救ってくれたのもまた、会社の先輩でした。

「その頃はまた先輩にLINEで愚痴っていて、未練じゃなくて何とかして忘れたいけれどどうすればいいかわからない、と繰り返していました。

先輩は『自分もそういう過去があるからわかるよ』と言って、ずっと聞いてくれたことには今も感謝するばかりです。

あるとき、ちょうどバーゲンをしているからと買い物に誘ってくれて、ふたりで百貨店に行きました」

バッグを新調したいと思っていた圭子さんは、以前目をつけていたものが安くなっていることを知って大喜びで購入し、ついでにかわいらしいヒールの靴も買えて大満足だったといいます。

「一緒にいた先輩はジーンズを買っていたのですが、買い物が終わってお茶しているときに『今度はそれを履いてご飯を食べにいこうね』と言ってくれて、楽しみだしうれしいなと思いました。

『今は彼のことなんて忘れているでしょ』とふと言われて、ハッとしました」

彼のいない先の約束に何とも思わない自分、そして彼のことが頭にない状態で買い物を楽しめる自分に気がついたとき、圭子さんは

「彼に無関心になっている状態が自分には足りなかったとわかりました」

と、意識を変えることを思いついたそうです。