相手との「差」を意識しないのが対等な関係
たとえば、彼氏が一流企業に勤めていたり、親が資産家で贅沢な暮らしをしていたり、自分より上の世界で生きている、と感じる人には劣等感を覚えることがあります。
「それに比べて自分は」と、卑屈になると、その人と接するときに引け目を感じてしまい、感情を抑圧したり気持ちを主張できなかったり、楽しい時間を過ごせません。
近い友人であっても職場の同僚であっても、自分と「差」を感じる人にはなかなか心を開けないものです。
逆に、明らかに自分よりつらい状態で過ごしている人を見れば、「自分のほうがマシ」と心のどこかでホッとする瞬間もあります。
「自分より下」と思える人には優しくできる、という人は実際にいますが、こんな人はその相手が自分を対等な人間と受け止めることを嫌います。
「あなたより上の私にはもっと丁寧に接するべき」のように、相手の気持ちを踏みにじるのですね。
そんな心の有り様では、つながっている人たちと気を許したお付き合いは難しく、結局は相手の状態や態度に振り回されて疲れてしまいます。
自分と「差」を感じる人とは、感情が歪みやすくなるため自分がリラックスできないのですね。
どんな状況を生きていても、人間関係に「上下」を意識しない人は、自分と他人を比べることがありません。
距離が近い人ほど自分とは違う部分に目が向いてしまいがちですが、自分と他人を比較するから「差」が生まれるのであって、仲を深めるのをみずから遮る必要はありません。
その人の状態がどうであれ、自分とは違う過去や経験があり、背負っている事情は違います。
生きてきた背景が違う人に「差」を意識しても、その人のすべてを掴むのが不可能な以上は、気にすることが自分を追い詰めるといえます。
比較は、情報を知りすぎることでも生まれます。
どんな関係でも、相手との違いではなくそのつながりを大切にする気持ちが、相手に関心を向けすぎない心の距離を作るもの。
「上下」を持ち込みたい相手から一方的に探られるのを避けるためにも、近すぎる心の接触はなるべく控えるのが、自分のためです。