男友達の「決意」

そんなふたりの状況がどうなったのか、結末は女性の想像とはまったく違うものでした。

あるとき男友達から「会ってほしい」とメッセージをもらった女性は、待ち合わせに指定されたカフェに向かいます。

以前ならどちらかの部屋に足を向けたり彼が迎えに来てくれたりするのが普通だったけど、今は会う時間からきっぱりと約束をして外の場所で落ち合うような流れに、女性は寂しさを感じたといいます。

そして、「この状況でこの人から話があるとすれば、今のふたりのことだろうな」という暗い予感も、彼女にはありました。

自分が離れたことを責められるだろうと思っていた女性は、テーブル席で向かい合って座った男性から

「友達をやめないでほしい」

と言われたとき、男友達の「寂しさ」を強く受け取ったといいます。

このときも、「自分たちの関係には曖昧さがつきまとう」ことを実感した女性は、自分が距離を置いた理由を尋ねるのではなく「それを超えて」友達としてのつながりを求める男友達の姿に、はっきりとある思いを感じました。

それは、「恋愛の対象になるかどうかに関係なく、この人を大切にしたい」という友情でした。

「友情だったのですか」と尋ねると、女性は無言でうなずいてから

「恋愛の好きではなかったです。それは確かです。

あの人が友達と言ったからではなくて、この人とのつながりは友情なのだと自分ではっきり思いました」

と力強い声で答えました。

離れる決断をした自分に向けて、先に「友達」という枠を用意したのは男性のほうです。

それに乗っかるのではなく「自分もそれがいい」と思ったのは、今まで形にならなかったふたりのつながりに初めて人としての純粋な情愛を実感した瞬間でした。

「友達でいたいよ」

と彼女は男友達に返し、その日は久しぶりにお互いの近況を伝えあう楽しい時間を過ごしたそうです。

男友達の「決意」は、彼女にとって歓迎したいと思える気持ちでした。