教授:「(漫画をめくりながら)でもこの宗教ネタ、特にキリスト教の方は、日本では元ネタがわからない人も多いのでは?※1「石をパンに」とか※2「三度もわたしを知らないと言ったなー!!」とか……。雰囲気で楽しんでいる人も多いと思うのですが。ヨーロッパに行くと、今度は逆に仏教ネタの方がわからなかったり……ということがあるかもしれませんね。」
(※1 イエスが四十日四十夜の断食を経験した直後、空腹を覚えると悪魔が現れ「石をパンに変えたらどうだ」と誘惑した。イエスは「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」と返した。ちなみにイエスは水をぶどう酒に変えたり、5つのパンと2匹の魚の量を増やし、5000人を満腹にしたことがある)
(※2 イエスの弟子ペトロは最後の晩餐のとき「鶏が鳴く前にあなたは三度私を知らないというだろう」と言われていた。ペトロは「絶対にそんなことはしない」と激しく言い寄ったが、イエスが逮捕されて問い詰められると、三度も「イエスなんて知らない」と言ってしまう。そしてちょうどそのとき鶏が鳴き、ペトロも予言を思い出して泣いた)
確かにそうです。日本人でも、詳しい意味はわからず、雰囲気で本編を楽しんでいる読者も多いかもしれません。
ですが、日本人は「子どもが生まれたら神社にお宮参り、結婚式は教会で、お葬式はお寺で……」ということを当たり前に行う民族でもあります。無神論者の人が多くても、宗教観が薄いとは一概には言えません。
『聖☆おにいさん』の漫画をきっかけに、八百万の神を信仰する日本人が、仏教やキリスト教の教えを知り、日本人の宗教観について考えるきっかけになれば、それは素敵なことのように思います。宗教を知ることによって、歴史や文化のあらゆる背景にあるものが見えてきます。ぜひ、『聖☆おにいさん』など宗教漫画を読んで、そういったことに少しでも思いを巡らせていただければ嬉しいです。