今回は昨年に引き続き、大人から子どもまで楽しめる「日本の怖い絵本」を新たに5冊ご紹介したいと思います。残り少ない、けれどまだまだ暑い夏、怖い絵本を読んで涼しくなって頂ければ嬉しいです。

「かがみ」に「足」。
~身近にあるけど実は妖しく怖いもの~

 日本を代表する怪談文芸や怪奇幻想文学のプロフェッショナルたちが執筆する岩崎書店の「怪談えほん」シリーズ。昨年から今年にかけて「第2期」が発売されています。

「良質な本物の怪談の世界」を提供してくれるこのシリーズは、子どもはもちろん、大人が読んでもトラウマレベルの絵本ばかり出版されているので、読まれる際は十分に覚悟してお読みくださいね。

まずご紹介したいのは、オシャレ女子には(男子にも)必須のアイテム「かがみ」の怖さを描き出した『かがみのなか』(恩田陸 作/樋口佳絵 絵/東雅夫 編)という絵本です。

家でも街でも、見ない日はない「かがみ」。本書は「かがみ」と少女をめぐるふしぎなお話が描かれています。

ある少女は、家の中でも学校でも、かがみを見上げます。そこに映るのは、普段は何の変哲もない自分自身です。右手を出せば、鏡の中の自分は左手を出しますし、逆もまた然りです。

だけど、かがみは時々間違ったり、ウソをつくこともあるようで……!? 

皆さん、かがみの中から自分の手がヌッと出てきて、別の世界にひきずられることを想像してみて下さい。とても怖いですよね……。

この作品は、そんなかがみにひそむ恐怖を、まるで「詩」のような見事な文章と、足元がゾワゾワするような気味の悪い少女の絵で見事に描ききっています。

この本を読んだ後、夜中にトイレに起きてかがみを見ると「蝶々を口に入れた女の子が微笑んでいたらどうしよう……」と妄想が爆発すること間違いなしです。