「のっぺらぼう」に「かっぱ」
~親子で楽しめるちょっと優しいおばけ絵本~
ラストは、お母さんと子どもが一緒に楽しめる「怖いけれど、どこかホッとする」おばけの絵本を2つ紹介します。
まずご紹介したいのは、顔に目や鼻・口がないと言われる『のっぺらぼう』(杉山亮 作/軽部武宏 絵/ポプラ社)の絵本です。
母親に山に薪をとりに行くように言われた男の子。「山は暗くなると怖いものが出るから、すぐに帰ってくるように」言われるのですが、そこはやはり子どもです……。
飛び出したうさぎを追いかけ始めているうちに、辺りはすっかり暗くなり、来たことのない山奥に迷い込んでしまいます。
男の子はあわてて山をおりる途中で、赤ん坊を背負った母親や、提灯を持ったさむらい、おしょうさんに出会って助けを求めるのですが、彼らの顔をよく見ると……!?
目も鼻もない(※なぜか口だけある)のっぺらぼうに追いかけられ「彼らの仲間になりなよ!」とまで誘われる男の子の恐怖はとんでもないものだったはず。
しかしラストは、心配して待っていた母親の優しさがあふれる終わり方をします。
また、『のっぺらぼう』と同じ杉山亮さんが作者の、日本のおばけ話絵本シリーズの第三弾『かっぱ』(杉山亮 作/軽部武宏 絵/ポプラ社)。
こちらもかっぱが人間に化けて、お父さんと娘を脅かすお話なので、怖いのですが、最後は心からホッとできます。
つりをしていた父親に化けて、女の子が待つ家に帰宅するかっぱ……。
女の子をだまして、いろりばたに座り込み、父親の好物である団子ではなく「きゅうり」をばくばく食べる様子は、すさまじい威圧感があります!
しかしラストは、親子の愛情と、かっぱと人間の絆が感じられるハッピーエンドを迎えるので、「怖い話」を読んでいたはずなのに「良い話だな~(涙)」と感じることができ、大人も子どももホッとして眠りにつくことができます。
いかがでしたか?
「怖い話」というのは、じっくり読んでみると「恐怖」だけではなく、何かしら危険を教える教訓があったり、何があっても臨機応変に対応できるよう、冷静な心を育む教えが描かれていたり、意外と深いお話なのだな~ということがわかります。
ハラハラドキドキできるのはもちろん、親子で一緒に読んで、心の豊かさや、物事に対する理解力を深めてみるのも良いかもしれません。