続いてご紹介したいのは、岩井志麻子さんと寺門孝之さんによる、少々官能的なムードが漂う『おんなのしろいあし』という絵本です。
「オバケがいる」と怖がられている古い倉庫に、雨の降る暗い夕方、少年が一人で入ると「女の白い足」の幽霊に出会うのですが……!? というお話です。
登場するのは、本当に「足だけ」の幽霊なのですが、爪には赤いペディキュアが塗られていて、しかも色は白くて、太ももは太く、足首は細くて、はだしでペタペタペタペタ歩く様子が何とも妖艶です。
筆者は「あれ?これはホラーなのよね……?全国の少年を妖しいムードに誘う類の本ではないわよね……?」と思ってしまいました。
少年と「女の白い足の幽霊」の行く末が気になる、美しく、じんわりと怖いラストが待っています……。
「あずきとごうか ひととってくおうか」
~京極夏彦先生による妖怪えほん~
2012年に発売された京極夏彦さんと町田尚子さんによる、伝統的な日本家屋の隙間の薄暗がりを描いた『いるの いないの』(岩崎書店)は、談えほんの中でもとても注目を集めました。
実は今年、このお二人が再びタッグを組み、妖怪えほん『あずきとぎ』(京極夏彦 作/町田尚子 絵/東 雅夫 編)を出版されたことはご存知でしょうか?
京極夏彦先生の「妖怪えほんシリーズ」は全5巻に渡って展開されているのですが、『あずきとぎ』はその中でも格別の、極上の怖さが味わえる絵本です!
主人公は、夏休みの間はおじいちゃんがいる田舎で暮らすことになっている少年です。絵本には山や林や森、虫に川など壮大な自然が描かれています。
不思議なことに川からは「しょきしょきしょき」という変な音が聞こえます……。
おじいちゃんはそれを、「あずきとぎ」という小豆を洗う音をさせるオバケだと言います。
「この音がするとすべってふちに落ちるそうだし、川は危ないから入ってはダメだ」と注意された少年ですが、「おばけなんていないでしょ」と軽く流して、再び川に行ってしまいます……!
ラストは、大人でも声を失うほどの恐怖が待っています。
「あずきとぎは実際は姿は見せず、あずきを研ぐ音だけが聞こえる妖怪だ」とも言われているのですが、雄大な自然の中で姿を全く見せないおばけに、ここまで驚かされるとは思わなかったです。
『いるの いないの』以上の衝撃を味わいたい方、おススメです!