その5) 子供たちの「あるある」をネタにした現代版『ドラえもん』

我が家で購読している朝日小学生新聞6月2日付の1面記事に、ちょうど妖怪ウォッチの話題が取り上げられていました。

「妖怪ウォッチ」を制作したゲーム会社レベルファイブ日野社長のコメントによると、「子供の悩みからストーリーを作っている」とのこと。

トイレの個室に入るのが恥ずかしい、忘れ物をしてしまう、学校に遅刻しちゃう、思わず教室でオナラをしてしまった……などなど、なるほど!「小学生あるある」が盛り込まれているから、子供たちが自分のことに置き換えて楽しめるんですね。

「忘れ物するのも妖怪のせい~♪」「遅刻するのも妖怪のせい~♪」と「妖怪のせい」にして笑い飛ばして、子供たちに毎日を楽しく過ごしてもらいたい、という思いが込められているようです。

アニメの主人公・ケータ
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そういう「困ったを解決」というパターンはどこかで見た覚えが……そうか『ドラえもん』? 主人公ケータは、のび太ほどダメ男くんではないけれど、「ごくごく普通の小学生」という設定も、子供が自分自身に置き換えて感情移入しやすい。
そしてウィスパーという妖怪「執事」がいるという設定も『何かあれば頼ることができるドラえもん』という設定につながります。 

『ポケモン』『ドラえもん』という、何十年も子供の定番としてなじみのある題材の要素が含まれている。子供が夢中になってしまうのも納得です。

 

まとめ

『妖怪ウォッチ』ブームを分析してみると、「キャラクターがかわいい、面白い」「ネーミングが笑えて話題にしやすい」「アニメの主題歌がキャッチーで覚えやすい」「ポケモン、ドラえもん、など子供に既に流行っているキャラクターの世界観や要素が散りばめられている」などなど、様々なヒットの要因が見えてきます。

専門学校でゲーム科非常勤講師をしてらっしゃるキャラクター作家はじめさんからは、こんな意見もいただきました。

——「コレクション性のあるもの、怪談(ちょっとこわいもの)という、子供が興味を引く要素の下地があったこと、時代にあったスタイリッシュなデザインと色使いも特徴的です。ポケモンビジネスも飽和状態でだったので、そろそろ子供向けの新しいコンテンツが求められていた、など複数の要因があったのでは。“何か不思議なことは妖怪の仕業”と考えられるのは、日本人の伝統的な感性にマッチしているのかもしれませんね」——

子供にウケる要素満載の『妖怪ウォッチ』。まだまだブームは続きそう!

次は「親にもウケる3つの理由 」を探ります。