「パパの自覚が足りない!」そんな風に、ダンナさまにイライラするのは間違い…?
子育て中のママを中心に口コミだけで40万人を動員したドキュメンタリー映画『うまれる』と、11月22日に公開される4年ぶりの新作『うまれる ずっと、いっしょ。』の監督である豪田トモさんに、パパになる男性の「本当の気持ち」をうかがいました。
妊娠、つわり、胎動を経験しない男性は急にパパにはなれない
映画製作を通して100組以上の家族と接してきた豪田トモさん。ご自身も、もうすぐ4歳になる娘さんのパパでもあります。
たくさんのパパ・ママ、専門家の方々に取材・撮影し、自分も育児をする中で実感したことは「女性と比べて、男性は“親になる”意識が芽生えるのがメチャメチャ遅い」ということ。
「女性は妊娠して、つわりがあって、胎動があって……と、出産までの過程でママになるためのスイッチがONになる機会がいっぱいあるじゃないですか。でも残念ながら男性にはそのすべてがない。だから“パパスイッチ”がすぐにON! とはなかなかいかない人が多いんです」
「これは今の日本の教育環境も影響していることかもしれませんが、思春期以降、中学、高校、大学……と成長する中で、意識しなければ男性は赤ちゃんや小さい子供としっかりと触れ合う機会はゼロに等しい。だから、子供を育てる、父親になるという感覚が養われにくく、パートナーが妊娠して『パパになりますよ』と言われても、全然ピンと来ないんですよね」
そういえば出産前に参加した「両親教室」で、妊娠10ヶ月くらいを想定した作り物のお腹をダンナさまがつけてみる「妊娠体験」なるものがありました。けれど何をやっても、女性と同じように妊娠、出産が体験できるわけではない。まさに「ピンと来ない」んでしょうね。
男の“パパスイッチ”が入るのは生後8か月くらい
女性は出産直後からママ業24時間営業になってしまいます。
必死でがんばるあまり、ダンナさまにも同じような育児レベルを期待してしまい、わかってくれない!とイライラしてしまうのですよね。冷静に考えると、男性に女性と同じレベルを求めるのは無理、とわかるのですが……。
「パートナーから妊娠を告げられた瞬間に“父親になった”と実感できる男性って30パーセントもいないんじゃないでしょうか。あくまでもぼくの実感ですが、出産に立ち会って50パーセント、赤ちゃんを育てながら徐々に意識が育ち、子供が生後8ヶ月くらいでようやく100パーセント近くまで達する感じです」
「こちらがやることに反応してくれたり、笑ってくれたり、もちろん子供によって違いますが、子供とのコミュニケーションが成立するのがだいたい8ヶ月くらいじゃないですか。そのあたりでようやく“パパスイッチ”が完全にONになる人が多いんですよ。
女性のように妊娠、出産、とその都度スイッチが入るのではなく、徐々に“ボリューム・アップ”していく、というイメージです」
8ヶ月でようやく、と言われるとママとしては「それまでが大変なのに!」と、つい不満をぶつけたくなってしまいますよね。でも、もともと全く違う男性と女性。わからないなりにも一生懸命理解しようと努めてくれている、というパパの状況はママも把握しておいた方がいいような気がします。