パパ達へ! 育児から逃げないで
映画『うまれる ずっと、いっしょ。』には3組の家族と、それぞれの課題に向き合う父親が登場します。子連れ再婚によって血のつながらない2歳の息子を育てることになった安田慶祐(けいすけ)さん、長年連れ添った妻を大腸がんで失った今賢蔵(こんけんぞう)さん、不治の障がいを持つ子を育てる松本哲(あきら)さん。
主に登場する安田慶祐さんは、豪田さんと同じく父親であることに悩み、そのことに向き合う30代のパパです。
「慶祐さんは、親子の関係、父親であることに真正面から向き合いました。そして5歳になり、自分のことを“本当のお父さん”だと信じている息子さんに『君と初めて会ったのは2歳の時だった』と告知するんですが、これらのことを通して、男として、父親として、家庭人として、ものすごい成長を遂げられたように見えます。
最初の頃は育児や出産にそれほど大きな興味や関心を持っておらず、奥さんに前作『うまれる』に連れて行かれたときも『なんでこんな映画を見せるんだ』って怒ったくらいらしいです(笑)。
そんな慶祐さんが、奥さんとの間に新しい命が生まれることになり、血のつながらない息子さんに真実を告げ、いろいろなことに悩みながらも真正面から向き合うことで、父親として大きく成長していく。子育て中には、様々な問題が起きますが、親はそこから逃げずに向き合い続けなきゃいけないんだ、ということを真に学ばせていただきました」
子育て中は次から次へと問題や悩みが降って湧いてきます。
どんなに逃げ出したくなってもきちんと向き合い逃げないこと。
豪田トモさんは「向き合う力は筋力と同じで、鍛えないと力がつかない」と言います。ひとつひとつの課題に向き合い続けることが、結果的に自分をラクにしてくれるのではないでしょうか。
パパが育児に参加しないのはもったいない!
ひと昔前の世代のパパは育児参加の機会も少なく、「夫が育児をしない」ことが当たり前だったり、イクメン流行のこのご時世でも「夫が育児をしてくれない」と嘆くママも多いです。
でも豪田さんいわく「こんなにやりがいと気づきが満載の育児に、パパが参加しないのはもったいない!」
「昔と比べると、今は子供の日々の世話、保育園の送り迎えなどパパが育児に関わる姿は珍しくないですよね。まだまだ少ないけど、育休を取るパパも増えてきました。
僕も半年くらい育休のようなものを取って(半休半仕事)、オムツ替え、お風呂など、いろいろやりました。もちろん仕事はとてもやりがいのあることですが、子育てはそれを飛び越えるやりがいと幸せがあります。癒しと学び、気づきもいっぱいあります。
子育て経験が浅いぼくがえらそうに語るのは恐縮なのですが、この幸せとやりがいに出逢えないのは、本当にもったいないことだと思います」
また、豪田トモさんは、子育てをすることで男性は「仕事がさらにできるようになる」と熱く語ります。
「言葉の通じない赤ちゃんと長い間やりとりしていると、だんだん、赤ちゃんが感覚的に何を求めているかが分かるようになってきます。すると、奥さんが自分に何を求めているかも分かる感性がついてきます。
この能力が身についてくると、職場でも、上司が、同僚が、部下が、今、自分に何を求めているかが感じやすくなってくる。ひいては、お客様が求める事も感覚的に分かってきます。これは、データ、数字、分析、論理の男性型資本主義社会では、ものすごい武器になりますよ!」
ただ一方で、育児をしてこなかった男性を非難するべきではないし、育児をしたくてもできない環境にあるパパがいることも理解してほしい、と言います。
「こんな風に僕が育児をさせてもらえるのは、ひとえに時代の流れと仕事環境のおかげ。僕も20年前に親になっていたら、たぶん今ほど育児はしていないと思います。少し前の世代のお父さんたちは、機会も環境も与えられていなかった。それは男女で分業する方が良いという社会的な合意があったから。今でも、家族を養うために自分が希望する以上に仕事をしなければならず、子どもに触れ合いたくても出来ないパパもいる。
だからこそ、今、育児に積極的に参加できる環境にいるパパたち、そしてママたちは、もっと育児環境をよくするため、子どもに幸せな未来を歩んでもらうために、がんばらなければならないと思うんです」
――全国のパパに聞かせてやりたい! いえ、聞かせてあげたい(笑)お話満載でした。
パパになる男性の心理を知ること、男性と女性は違うということを知ることで「ダンナが育児に参加してくれない!」「わかってくれない!」という子育てのイライラも軽減するかもしれません。
3組の家族の姿を通して「父親とは」「家族とは」について、考えさせられる『うまれる ずっと、いっしょ。』は11月22日(土)シネスイッチ銀座ほか全国ロードショーです。たくさんのママ、パパに見ていただきたい作品です。