理解できないこと

ふたりの別れが決定的になったのは、和佳子さんがマッチングアプリを「開いてもいい?」と尋ねたときでした。

「『今は使っていない』という彼の言葉は本当だと信じていたので、ログインの履歴を見ても大丈夫だろうと思っていました」

その頃は、彼氏がアプリを残し続けることについて、受け入れていこうと思っていた和佳子さん。

だからこそ安心の証明がほしくてログインを要求したそうですが、彼氏からの言葉は

「そこまでするなんて、やっぱり俺のことを信用していないんだね」

と、拒否されたそうです。

「そうじゃなくて、本当に使っていないのならマイページを見せられるでしょ?」と返す和佳子さんに、

「いくらこれがきっかけだったとしても、そこまで見られるのは嫌だ」

ときっぱり断る彼氏を見て、「あ、これは私に隠れてログインしているな」と、和佳子さんは直感で思ったそうです。

「浮気をしているような感じはなかったのですか?」と質問すると、すぐに「それはなかったです」と返す和佳子さんですが、

「たぶん誰かと会うつもりはなくて、女性のプロフィールをチェックするとか掲示板を読むとか、見ていただけだったのかもしれません。

でも、やっぱりそれを手放すことはできないのだなと実感したら、何だか虚しくなってしまって」

と、これ以上付き合っていくのは難しいと感じたそうです。

「本当にやましくなければ見せられるはず」と言う和佳子さんは、「彼女にそこまで疑われたら、いい気はしない」とスマートフォンを渡そうとしない彼氏に「削除しないのであれば別れる」と告げ、その日は終わります。

「彼の気持ちが理解できなかったですね。

結局、アプリが好きな人って誰かと付き合っても刺激をほしがるのかもなと、正直に削除した自分が馬鹿みたいでした」