「誠実さ」の証明
その後、彼氏からは「アプリは消すからやり直したい」とLINEでメッセージが送られてきたそうですが、「こんなことでここまでこじれたのがもう嫌になっていて、彼のことはまだ好きだったけれどもういいと思いました」と、和佳子さんは別れを決めます。
本当に削除したところで「隠れて何をするかわからない」という不安は消えず、戻ったところでいずれ終わっただろうと、和佳子さんは思っています。
彼氏が口にする、「出会いのきっかけを残したい気持ち」が本当なら、アプリが載っている画面やふたりがやり取りしたメッセージをスクリーンショットで残すなど、いくらでも方法はありますよね。
どんな言い訳をしても、まともなお付き合いに発展した時点で「もう必要はない」とアプリを削除した和佳子さんの気持ちとはまったく違っているわけで、嫌がっているのにまだ残す様子に、誠実さはないと感じました。
一緒にログインするのを断固拒否するのも使っていることを勘ぐる理由で、たとえ目の前で削除されたとしても、「フォルダとかに入れて隠されたらもうお手上げです」と話す和佳子さんの言う通り、彼氏を信用するのは難しいのが現実です。
ふたりの関係に誠意を持って向き合っているのなら、すでにそれを使っていない彼女が「やめてほしい」と言うのなら、自分もすぐに削除するのではないでしょうか。
一緒にいるときに愛情を感じるのは確かで浮気の兆候はなかったとしても、その姿ひとつで愛情と信用を失うのは、それだけで誠実さがないと思うからです。
「体も性格も相性はよかったので、もったいないとは思うのですが、完全に信用できない時点でストレスがあるので私は無理でした」
和佳子さんは、自分を大切にするために別れを決めました。
どんなきっかけで交際まで発展したにせよ、大事にするべきなのはそれまでのつながりではなく、今のふたりの関係です。
本当に後ろめたいことはないとしても、現在の相手が嫌がることなら、きちんと話し合って解決を探すのが、誠意といえます。
自分だけが納得できる言い訳を押し付けるのではなく、これからのふたりを大切にできる人が、幸せな交際が叶うのですね。
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特にカラダだけの関係のように通常の出会いから外れるきっかけは、恋愛関係になれた後にこそ、互いに信用できる姿を見せ合うことが重要と感じます。
相手が抱える不安は確かに相手の問題ではありますが、それを生んでいるのが自分だとしたら、正しく向き合うのが愛情ではないでしょうか。
どんな始まりであれ、不安や心配をともに乗り越える姿勢を持てる人と長く安定した関係は続くことを、忘れてはいけません。