「長男だから“一男”」「いい子に育つように“良子”」と、ストレートに名付けていたところに突如現れた、「美空ひばり」や「ペギー葉山」、「坂本九」「青空球児好児」などの派手な名前。
70年代はもはや苗字すらないアイドル「ミー(本名:美鶴代)」と「ケイ(本名:啓子)」が大人気に(ピンクレディですよ)。テレビ黎明~全盛期、キラキラネームの萌芽が現れていた。
ネットがキラキラネームを加速させた
さらにアニメやゲームにインターネット。急激なメディアの普及は名前のトレンドを瞬くまに塗り替えた。1985年から人気急浮上した男の子の名前「達也」は『タッチ』の影響ではないか?
今では一般的な「翼」は1994年にベスト10入り。これは『キャプテン翼』を愛読していた世代が親になったためかもしれない。近年人気の「瑛太」は瑛太だろうし、コナンくんもよく見る。
女の子の名前では、「心」を「こ」「み」と呼ばせるパターンが多いが、2001年、キムタク夫妻が生まれた娘に名付けた「心美(ここみ)」がその先駆けだろう。響きを重視し、漢字にうまい当て字を使う、現在のキラキラネームの原型がこのとき一般化したと思われる。
同じころ、インターネットの普及率が50%を超え、パソコンを利用して名づけをする人が増えた。「いい子に育つように」との思いは同じでも、パソコンで調べると“心優(みゆ)”“聖(ひじり)”“カイン(=kind)”など、個性的な名前の候補はいくらでも出てくる。良子、インパクトで完敗……。
いつしか私たちにはキラキラネームに対する免疫がついてしまい、多少のことでは驚かなくなった。
元来、独創的な名前が求められるタレント名やアニメキャラの名前も一般庶民に負けじとキラキラ度をアップ。
今やどうにも止まらない珍名インフレ状態になっていて、いつ「羽美雨(ぱみゅ)」ちゃんが出てきてもおかしくないのだ。