一方的に関わりを持たれる側の恐怖
元彼が本当に通話を録音していたのかどうかは、わかりません。
ですが、それを相手に告げるのは行動を牽制する意識があるからで、元彼にとってAさんはいわば「敵」ともいえる存在になっています。
「警察に通報する」とすぐに口から出ることでも、Aさんがまったく歓迎されていないことが伝わります。
Aさんのどこが「非常識」だったのか、「すべて拒否設定されていると知ってもまだ別の端末から連絡を寄越してくること」「電話をかけ続けるのに留守番電話にメッセージを残さないこと」など、相手が感じる負担やプレッシャーをいっさい無視している点です。
それを「怖い」と表現して繰り返した元彼にこそ、「忘れてもらえない恐怖」があります。
一ヶ月前の別れ話に納得がいっていないのはAさんの事情であり、それを「別の端末を使ってまで」何とかしようとする姿を見れば、その執着の深さにぞっとするのではないでしょうか。
「電話を切られてから、しばらく放心状態でした。
警察に通報するとか録音しているとか、ああ私本当にまずいことをしているんだなって、じわじわと実感が湧いてきて」
留守番電話にメッセージも残さない正体不明の存在が自分だとわかって、元彼はどんな思いがしたか、
「今は、本当に何てことをしたのだろうと、反省しています」
と、Aさんはうなだれます。
極端な言動に走る前に
それからまた一ヶ月が過ぎ、Aさんは
「自分のしたことが苦しくて、また電話して元彼に謝りたいとか、衝動が出てくるときもありました。
でもまた拒否設定されただろうし、次は本当に通報されるかもしれないと思ったら、何もできなくて」
と、身動きの取れない状況をひたすら耐えているといいます。
元彼の気持ちを考えれば落ち込むばかりで、
「ストーカーですよね、私」
Aさんは自分の印象が底に落ちたことも、実感しています。
未練をどうするかはAさんの問題であり、元彼は関係ありません。
「話せば何とかなるはず」と極端なやり方に走っても、それは相手の受け取り方しだいで展開は変化するものであり、Aさんのケースのように最悪ともいえる終わりも当然にあります。
度が過ぎた言動で相手に与える恐怖は、どんな言い訳も通じないのが現実です。
相手に何とかしてもらって成就できる方法ではなく、まずはみずからその気持ちと向き合い、解決していく姿勢が、自分のためといえます。
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「やり直したい」と思い詰めても、相手が同じ気持ちでなければ当然うまくはいかないですよね。
こんな恐怖を体験する側の気持ちを考える余裕を失えば、結果は相応に悪いものが返ってきます。
自分の言動で身を滅ぼさないためにも、相手を巻き込むのではなくまずみずから気持ちを律していく強さを、しっかりと持ちたいですね。