睡眠時により深い呼吸をするための工夫

1.仰向けで寝る・横向き寝はひと工夫を

高島「仰向けで寝ることが最も深い呼吸を促進します。この姿勢では胸郭(きょうかく)が開き、横隔膜(おうかくまく)の動きが制限されないため、十分な肺の拡張が可能になります。

横向きで寝る場合は、膝の間に薄い枕を挟むことで背骨の角度が整い呼吸がしやすくなったり、抱き枕を使用することで安心感が得られやすくなります」

2.高さの合った枕を使う

高島「正しい高さの枕を使うことが重要です。極端に高い枕は気道が狭くなり、呼吸がしにくくなる場合があるため注意が必要です。高さの合った枕を選ぶことで、首や肩への負担が軽減され、呼吸がしやすくなります」

3.適度な硬さのマットレスや布団を選ぶ

高島「マットレスや布団は適度な硬いものを選びましょう。柔らかすぎると体が沈み込みすぎて呼吸が制限され、硬すぎると体に負担がかかり、寝返りや深い呼吸ができません。

そのための大切なポイントは、枕とマットレスはセットで考えることです。枕だけを測定しても、布団への沈み込みが考慮されていなければ本当に合った枕とは言えません、

保温性と吸放湿性のバランスが取れた寝具を選ぶことも重要です。体温調節がスムーズになり、快適な睡眠環境が整います」

4.寝巻きや温湿度にも気をつけて

高島「寝巻きはきつくなく、ゆったりとしたものを選ぶことで、ゆったりとした呼吸が可能になり、深い睡眠につながります。寝室の温度は26度前後、湿度を50%程度に置くことで、過ごしやすい寝室環境を作ることができます」

そして高島先生は、次のようにまとめました。

高島「これらの工夫により、睡眠の質が向上します。個人の体型や好みに合わせて調整し、最適な睡眠環境を見つけることが大切です」

眠っている間の呼吸については、なかなか日頃から注意が向きにくいもの。寝姿勢や寝具を見直してみることで、ゆったりとした呼吸につながり、睡眠が変わるかもしれません。ぜひ試してみましょう。

【取材協力】

高島 雅之(たかしま・まさゆき)先生
たかしま耳鼻咽喉科・内科院長
日本睡眠学会総合専門医 / たかしま耳鼻咽喉科・内科院長
1994年金沢医科大学医学部卒業、1998年同大学院修了。診察の傍ら「鼻と睡眠」「睡眠時無呼吸症候群」「睡眠負債」「睡眠改善」について講演やセミナーを積極的に行う。