睡眠の質を上げる方法は多くの情報を見かけますが、盲点になりがちなのが、眠っている間の呼吸のこと。

実は、睡眠中の呼吸が深くゆっくりとしたリズムになることが、質の高い睡眠を得るための鍵となると、睡眠に詳しい日本睡眠学会総合専門医、高島雅之先生が述べています。

高島雅之先生(以下、高島)「寝ているときの呼吸は、私たちの健康と生活の質に大きな影響を与えます。自律神経と睡眠は密接に関係しており、特に呼吸の深さがそのバランスを左右します。呼吸が浅いと交感神経が優位になり、体が緊張状態に陥りやすくなり、心拍数が上がり、リラックスできず、不眠傾向に陥る可能性が高まります。

一方で、深い呼吸は副交感神経を優位にし、体をリラックスさせる効果があります。副交感神経が優位になると、心拍数は下がり、血圧も安定するため、体は安眠しやすい状態になります。したがって、睡眠中の呼吸が深くゆっくりとしたリズムになることが、質の高い睡眠を得るための鍵となります」

今回は高島先生に、睡眠の質が低いと感じている人向けに、呼吸を浅くするNG行動や姿勢3選と、その解決策を伺いました。

呼吸を浅くするNG行動3選

1.うつぶせ寝

高島「うつ伏せ寝では首を左右どちらかにひねった状態になります。長時間この姿勢を続けると、呼吸が浅くなるだけでなく、首の神経が圧迫され、痛みやコリの原因となります。

また重力によって腰が沈み、反り返った状態になるため、立っているときの『反り腰』と同様の状態となり、腰痛の一因となる可能性もあります」

2.高さの合わない枕の使用

高島「枕が高すぎると、のどが詰まった状態となり、気道(息の通り道)が狭くなって呼吸が浅くなりやすくなります。

また首や肩の筋肉に過剰な緊張が生じ、肩こりや首コリの原因にもなり得ます」

3.きつい寝巻きの着用

高島「体の締めつけがきつい寝巻きは、胸やお腹の動きを制限し、呼吸を浅くする原因となります。特にウエスト部分がきつい場合、横隔膜の動きを妨げる可能性があります」