猫の結石の素になるのは主に「ストルバイト」
手元にありました、もう一つの参考資料、矢沢サイエンスオフィス編『もっともくわしいネコの病気百科』(学研・2002年)のP161の解説によると「下部尿路症候群」の兆候として、「この病気のネコの尿は、乾燥すると、後にサラサラした結晶が残ることもあります」とのこと。この結晶がすなわち、「尿石」「結石」で、これが大きくなり尿道に詰まって、痛みを生じたり、尿が出なくなったりするわけです。
拡大画像表示
原因として多いのが「ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)」で、イヌ・ネコでもっとも一般的な結石です。ネコにおける発生率は65~75%と言われ、発生する状況には次のようなケースがあります。
(1)食物に無機物とタンパク質が多く含まれる場合、尿に多量のマグネシウムやアンモニウム、リン酸塩が存在する
(2)食物や薬物、腎臓の病気などが原因で尿がアルカリ性になる
(3)水分摂取が少ない場合に尿の濃縮が強くなる などの状況が重なって発生します。
(『イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科』、「ストルバイト結石」の項目から抜粋P375)
(1)は、普段の食事でケアすべき点。キャットフードの成分表をチェックして、マグネシウム等の無機物(ミネラル)が多すぎないようチェックします。また、気を付けたいのがミネラルウオーターを与えないこと。ミネラル分はネコにも必須ではありますが、微量で事足りるものですので、硬度の高い(=ミネラル含有量の高い)硬水を飲用に使ったり、猫ご飯に使うのは避けましょう。
(2)については、尿のpH値を適正に保つのが予防につながります。日々食べるキャットフードの機能をチェックして、pH値の調整を謳っているものを選んで、メインのご飯にしたり、サブフードとして与えるようにしましょう。また、病気が原因の場合は、療法食が用いられます。
(3)への対策方法は、水分摂取を促すこと。清潔な水を常に用意するといった基本的な方法に加えて、猫の好みを知るようにしておきましょう。具体的には、「流水が好きなタイプ」「ぬるま湯が好きなタイプ」「静かなところでこっそり飲みたいタイプ」など、猫によって好みの水の飲み方はさまざま。たまに、いつもの水の与え方と変えてみて、飲みっぷりがいい方法を見つけたら、それに移行するのがいいでしょう。
個人的な経験では、我が家の猫はお湯が好きだと気付き、それから、催促があったときには、電子レンジで人肌程度に温めたお湯を飲ませるようにしました。
また、ウエットフードはドライフードに比べて水分量が多いため、併用しながら与えるのも、水分摂取につながります。ただし、頻繁に水を飲みたがるのは、他の病気の兆候とも言われていますので、普段の摂取量と比べて、多く飲むようであれば、獣医の診断を仰ぎましょう。では、普段から飼い主ができることは何か? それは食事を気遣ってあげること。その具体的な方法は…。