ゴキブリが好かれる条件
さて、話が脱線したうえに気持ち悪い方向に行き始めたので戻すと、嫌われる要素を減らすことはもちろん、何らかの好かれる要素を身につけることも大事です。
ゴキブリをテーマにした童謡が小学校の教科書に載るには、どうすればいいのでしょうか?
好かれる条件1
持つとこがある
これはとても重要な要素で、あのカブトムシが国民的大人気昆虫に上り詰めた
理由はほとんどここにあります。カブトムシは持つとこがあるのです。
小さい方のツノをつまむと絶対に攻撃される心配はありません。
この人間に対する細やかな気配りがカブトムシが絶対王者たる所以なのです。ゴキブリもぜひ「持つところ」を進化させたいものです。
好かれる条件2
一芸に秀でている
人間に利益をもたらす、というところまでは無理でも、何らかの一発芸を磨けば
その特徴を認められて人間に受け入れられ、愛されるというパターンが望めます。
ここにその例をいくつか挙げてみましょう。
こういった一芸を持っている虫は人に愛され、むやみに殺されることが少ないです。
たとえばホタルなどは光らなければ気持ち悪い甲虫ですが、「光るときがある」という
だけで許され、叩き潰されずに済んでいるのです。
つまり、何かの持ち味を発揮することで自分が気持ち悪い虫である事実から注意をそらし、
「ギャッ○○(虫の名前)だ!」から「あっ○○(虫の名前)だ!」にイメージを転換させる必要があり、ゴキブリはその努力を怠っているといえるのであります。
たとえばおいしい果物やかわいいペット、乳酸菌などのように、人類に利益をもたらす方向に進化した生物はその後も栄華をきわめています。
反対に、害獣やウィルス・病原菌など、人類に害をなす生物は時間をかけて撲滅されたり、絶滅に追いやられたりしてきました。
ゴキブリは非常にしぶとい生物ですが、そろそろ生存戦略として人類に利益をもたらすことを考えてもいい時期に入ったのではないでしょうか?
以上をふまえて、今後ゴキブリが人類に好かれるために踏むべき手順は次のとおりです。
・段階的な鈍足化(回避よりむしろ防御力を高める方向への進化)
・飛行の廃止、及び羽の退化
・体表の油分の削減、全体的な清潔化
・「持つとこ」の提供
・人間に利益をもたらす一芸の獲得
100年後、すなわち22世紀のゴキブリはきっとこれらの条件を満たし、人類に愛される昆虫に進化していると考えられます。
羽はなくなり、防御力が高く鈍足…。
清潔…。
持つところ…。
人間に利益をもたらす一芸…。
みなさんは、100年後のゴキブリをどんな姿でイメージしましたか?
私はこれです。
(おわり)