
しとしとと降り続く雨、ジメジメとした空気……。6月、梅雨の時期がやってくると、「なんだかからだが重くてだるい」「雨が降る前になると頭が痛くなる」「理由もなく気分が落ち込んでしまう」そんな心身の不調を感じることはありませんか?
毎年この時期になると繰り返される不快な症状に、「梅雨だから仕方ない」と諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その不調には理由があります。不調の理由を知り、適切な対策をとることで、つらい梅雨の時期を少しでも快適に乗り切ることができます。
この記事では、なぜ梅雨の時期に体調を崩しやすいのか、自分の不調がどのタイプに当てはまるのか、タイプ別の具体的なセルフケア方法ついてご紹介します。ジメジメした季節に負けず、心身ともに健やかに過ごすためのヒントを見つけていきましょう。
なぜ梅雨は体調を崩しやすいの?
梅雨時期の不調は、単なる気のせいではありません。この時期特有の気候の変化が、私たちのからだにさまざまな影響を与えているのです。主な原因を見ていきましょう。
1.からだにまとわりつく「湿気」の影響
梅雨の時期、もっとも私たちのからだに影響を与えるのが「湿気」です。湿気には以下のような性質があり、さまざまな不調を引き起こします。
重だるさ(重濁性):湿気は重く、下に停滞しやすい性質があります。そのため、からだが重く感じたり、頭が重くスッキリしなかったり、手足がだるくなったりします。とくに下半身に症状が出やすいのも特徴です。
停滞しやすさ(粘滞性):湿気はネバネバと粘りつくように停滞しやすく、からだの巡りを悪くします。これにより、水分代謝が悪くなってむくんだり、関節が痛んだり、症状が長引いたりしやすくなります。
消化器系への影響:東洋医学では、湿気はとくに消化吸収を担う「脾(ひ)」(現代医学の脾臓とは異なり、胃腸機能全体を指す概念)の働きを弱めやすいと考えられています。脾が湿気に負けると、食欲不振、胃もたれ、おなかの張り、軟便、下痢といった胃腸症状があらわれやすくなります。
気の巡りを阻害:からだのエネルギーである「気」はスムーズに流れることで心身の健康を保ちますが、湿邪はこの気の流れを邪魔します。気の巡りが悪くなる(気滞)と、だるさ、倦怠感、気分の落ち込み、やる気の低下などを引き起こします。
このように、外気の湿気が高まると、体内の水分代謝も悪くなり、さまざまな不調があらわれるのです。
2.気圧の変化の影響
梅雨時期は、低気圧が頻繁に通過し、気圧が大きく変動します。この気圧の変化は、私たちのからだ、とくに自律神経に影響を与えます。
自律神経は、からだの活動を司る「交感神経」と、休息を司る「副交感神経」がバランスを取りながら、呼吸、体温、血圧、内臓の働きなどを無意識のうちにコントロールしています。
気圧が低下すると、からだはそれに適応しようとして自律神経のバランスを調整しますが、その調整がうまくいかないと、さまざまな不調があらわれます。
血管の拡張と頭痛:気圧が下がると、体内の血管がわずかに拡張すると考えられています。これが脳の血管で起こると、周囲の神経を刺激して「ズキンズキン」とした片頭痛のような痛みを引き起こすことがあります。また、自律神経の乱れ自体が頭痛(緊張型頭痛など)を誘発することも。
めまい・だるさ:自律神経の乱れは、血圧のコントロールにも影響し、めまいや立ちくらみを引き起こすことがあります。また、交感神経が優位になりすぎてからだが緊張状態になったり、逆に副交感神経が過剰に働いてからだが休息モードに入りすぎたりして、だるさや眠気を感じることもあります。
3.冷えの影響
梅雨時期は、蒸し暑い日があるかと思えば、雨が降って急に肌寒くなる日もあり、寒暖差が大きいのが特徴です。また、湿気が多いと汗が蒸発しにくく、汗がからだを冷やしてしまうことも。さらに、蒸し暑さから冷房を使う機会が増えますが、冷房の効いた室内に長時間いることもからだを冷やす原因となります。
からだが冷えると、以下のような悪影響があります。
血行不良:血管が収縮し、血の巡りが悪くなります。これにより、からだの隅々まで酸素や栄養が行き渡りにくくなり、疲労感やだるさ、肩こり、頭痛などを引き起こします。
水分代謝の低下:血行が悪くなると、リンパの流れも滞り、体内の余分な水分や老廃物が排出されにくくなります。これがむくみを悪化させる原因にもなります。
胃腸機能の低下:からだが冷えると、胃腸の働きも鈍くなり、消化不良や食欲不振、下痢などを起こしやすくなります。
免疫力の低下:体温が低い状態が続くと、免疫細胞の働きが低下し、風邪などをひきやすくなる可能性もあります。
このように、湿気、気圧の変化、冷えという3つの要因が複合的に絡み合い、梅雨時期特有のさまざまな不調を引き起こしているのです。