HSCへのNG対応。親がしてはいけないことは?

繊細に気づき、考えてしまうことが生きづらいなら、気にしなればいいのでは?と考えるかもしれません。ですが、HSCは生まれ持った性質であるため、「気にしない」ことや「深く考えないようにする」ことはできません。

そのため、「なんでそんなこと気にするの?」「またそんなこと言ってるの?」などと、子どもの感情反応を否定したり、からかったりするのはNGです。

否定的なリアクションをされ続けると、親子の心の絆はだんだんと切れていってしまいます。そうなると、何か困ったことが起こったときでも、子どもは親にSOSを出さずに自分だけで判断してしまいます。相談できなかったために、誤った選択をして突き進んでしまいかねません出典(「子ども繊細さん」への声かけ」)

また、親の「過干渉」も逆効果です。

子どもを大切に考えるあまり、先回りしてやってあげたり、「ああした方がいい、こうしない方がいい」と助言したりする親御さんもいるでしょう。

親の過干渉によって子どもが痛みや失敗から学び、社会に適応していく機会が奪われるということを覚えておきましょう。

HSCは表には出さなくても、「自分の考え」や「自分のスペース」がしっかりとあり、大切にしています。それを先回りして親が決めてしまうなど、子どもの選択を無碍に扱うと、HSCは学びの機会を失いますし、適切に自立することが難しくなったり、親と距離を取るようになってしまいます出典(「子ども繊細さん」への声かけ」)

子どもの生きづらさを軽減する「基本の声かけ」とは?

「繊細な子どもに必要なのは、絶対的に安心できる居場所です」と時田さん。

声かけのコツは受容的態度がポイント。親が子どもの特性を理解し、受容的な声かけを意識することで子どもに安心感が生まれ、その生きづらさは軽減されていきます。

1. イヤだったことを話してきたとき

NG:「なんでそのときイヤだと言わなかったの?」

OK:「そうだったんだね、それはイヤだったね」

→ 親が共感を示すことで、子どもは「親が自分の話を聞いてくれ、自分の思いを理解してくれた」と感じます。

2. 泣いていたり、落ち込んでいるとき

NG:「○○ちゃんに何かされたんでしょ」

OK:「話したくなったら、いつでも聞くからね」

→ 無理に聞き出さず、子どものペースに任せることが大切です。

我慢する姿を見ると、先回りして詮索的な言葉をかけてしまいたくなるかもしれません。そして子どもが傷ついている様子を見ると、「詳しく話して」と問いただしたくなることとは思いますが、そのタイミングもHSCのペースに任せてみましょう。本人の意向を尊重することです。

決めつけすぎず、「話してもらえれば、聞いてあげられる準備はあるから、話したいときに話してね」という意図を伝えられるような声かけをするとよいですね出典(「子ども繊細さん」への声かけ」)

HSCの子は、他人に気を遣いすぎてしまったり、自信をなくしてしまったりすることもあります。しかし、豊かな共感性や感受性は、その子の「強み」であり、大切な個性です。

「敏感で繊細な子は、『感性が豊かで人に寄り添える子』なのです。その素敵な子どもの特性を活かすには、子どもを理解し、特性に合った対応をしていってほしいと思っています」と時田さんは話します。

親の関わり方次第で、繊細な子どもは安心して自分らしく生きる力を育てていけるのです。

著者:時田ひさ子(ときた・ひさこ)
HSS 型 HSP 専門心理カウンセラー。合同会社 HSP/HSS LABO 代表社員。早稲田大学文学部心理学専修卒業。生きづらさ研究歴は、高校時代よりおよそ40年。生きづらさを解消するヒントを得るために大学で心理学を学ぶ。ネット検索中に、自分が繊細で凹みやすいと同時に好奇心旺盛な HSS 型 HSP であることに気づき、生きづらさの理由が HSS 型 HSP の特性に由来するとわかる。心理カウンセラーとして、HSS 型 HSP へのカウンセリングをのべ1万5000時間実施。現在、大学院の修士課程で臨床心理学を学んでいる。著書多数。

美容ライター。美容誌の編集を経て、ビューティ&ヘルス、フード、ファッション、ナチュラルライフなどについて執筆。美容ブログ『SimpleBeauty』でもコスメ情報を更新中。WebメディアのほかHP、紙媒体も手掛けています。