「食事中のマナーを守る人は公共の場でのマナーも守る」。
そんな傾向にあることを示すデータが、内閣府の調査(平成22年実施)により明らかになっています。そして、食事マナーを身につける場所として重要な位置を占めているのは、やはり「家庭での食卓」(93.3%)。子どもにマナーを教えるうえで親の果たす役割は大きいのです。

しかし現実に目を向けてみると、息子の通う小学校の先生からは「食事中に立ち上がってふらふらしたり、犬食いをしたりする子どもが目立ち、マナーの悪さが気になる。家庭でも注意を促してほしい」という厳しいお言葉が…。

今回は、食事中のマナーや作法を子どもにどのように伝えるべきかを考えてみます。
 

気をつけるべきは大人の行動

ところで、以前取材の際に『子育てハッピーアドバイス 笑顔いっぱい食育の巻』著者の松成容子さんからこんな話を聞いていました。「ある小学生の子に、肘をついて食事をしてはいけないと注意しようとしたら、先生も肘をついて食べていたので困った」ことがあるそうです。

その先生もまさか、「肘をついて食べてもいい」とは思っていないでしょう(たぶん)。生徒の前ですからなおさらです。おそらく、頭の中ではわかっていながら「無意識にやってしまった」のではないかと考えられます。

大人が無意識にしている所作は、知らず知らずのうちに子どもに影響を与えている可能性があります。「お母さん(お父さん)のマネしてるんだよ」と言われないように、まずは大人が気を抜かないようにしたいところです。
 

みんなが嫌がる食事マナー

食事マナーについて、次のような報告もあります。

【「不快と感じる他人の行為」ベスト3】
第1位「口を開けて音を立てる」……92.4%
第2位「食器類で音を立てる」……90.2%
第3位「食事中に携帯の操作」……84.5%

やはり、“音”に関しては気になるようです。さらに「食べ物をこぼす」(83.5%)、「食卓に肘をつく」(74.2%)、「茶碗を持たない」(69.4%)、「食べ物を残す」(64.6%)と続きます。これらの行為は避けたいものです。

食事中に席を離れない。器は持って食べる。頭や顔を手で触らない。食べ物を口の中にほおばったまま話さない。ズルズル音を立てて汁物をすすらない。くちゃくちゃ音を立てて食べない。食器で遊んだりしない。食べながら歩かない…。

「今さら言われなくても」というのがほとんどでしょう。けれども、これらの行為がなぜいけないのか、子どもに説明するとなると、意外と難しく感じられます。「どうしていけないのか」と問われたとき、どのように答えていますか?