4品目が、デワル(810円)。鶏のから揚げで作る、酢豚のような料理。

デワル

実際、中国から入ってきた料理らしい。酢豚は甘辛。片や、デワルは唐辛子などのスパイスがきいていて、なかなか辛い。

「酒の肴に頼む人が多いです。結婚式にもデワルが出ます」(カスンさん)

たしかインドでは、料理はすべてカレーと呼ぶはずではなかったか。カスンさんによれば、スリランカのカレーの定義がちょっとややっこしい。スパイスを使い、かつ汁気がある料理をカレーと呼ぶらしい。

このデワルもスパイスこそきいているが、カレーではないというのだ。先のコットウもスパイスを使っているが、汁気がないのでカレーとは呼ばないんだって。どうもよくわからない。
ってことは、ドライカレー(スリランカにあるのかどうかわからないが)は、カレーではないことになる。

つまり、スリランカのカレーの定義に従えば、この店で提供するカレーは、1品目とイディアーッパだけ、ということになる。

5品目が、フライドライス(ハーフサイズ800円、フルサイズ1,300円)。

フライドライス 画像はハーフサイズ

いわゆる焼き飯なのだが、粘り気が少ないスリランカ米で作るので、パラパラした仕上がり。なぜかタコに見立てたソーセージが飾ってある。

デワルと一緒に注文する料理だそうだ。フライドライスにデワルをかけて食べると、デワルの辛さが緩和されて美味しく食べられる。

実は、今回食事をするにあたり、カスンさんに「スリランカ式に手で食べよう」と提案されていた。スリランカのホテルなどのレストランにはカトラリーがあるが、街中のレストランでは手で食べるのが一般的だそうだ。

この店には、スプーンとフォークはもちろん、割り箸の用意もある。けれど、郷に入れば郷に従え。手で食べることにした。

「手で食べたほうが美味しいんです。なぜだかわかりますか」

もちろん、わかりません。

「いろいろな料理をまぜたほうが美味しいんです。でも、スプーンでは上手にまぜられません。だから手で食べるのが一番美味しい(笑)」

カスンさんの意見に、シェフのマノーリさんもうなずいた。「料理は、手でまぜたほうが断然美味しいんです」

手で料理をまぜることはできても、それを口に入れるのが難しい。手で寿司を食べるのとはわけが違う。5本の指でつかんだ料理を、ついそのまま口に入れてしまうが、それでは食べにくい。4本の指でまとめた料理を、親指の爪側で口に運ぶのがコツだそうだ。

手で食べると、当然ながら、手にご飯やカレーがくっつく。思わずその手をなめてしまう。

カスンさんに注意された。自宅でならいざしらず、外食先で手をなめるのはマナー違反。食事中に手をなめるのは、スプーンをなめるに等しい行為らしい。手についた料理は、その手できれいにはらったり、手を洗うのが、スリランカのテーブルマナー。

手で食べるのはこれで2度目の経験。数年前、インド料理好きの先輩に誘われインド料理を食べるとき、手で食べたことがある。インド料理もスリランカ料理も、街中のレストランなら難しいけど、手で食べてみませんか。新しい発見があるかもしれない。

シェフのマノーリさんにお願いして、スパイスを見せてもらった。

レモングラス、シナモン、なつめとその皮(かつお節のようなもの)、カルダモン、クローブなど、見たことがあるものもあれば、初めて見たスパイスもある。店のカウンターに飾ってあるスパイスもあるので、覗かせてもらおう。

もちろんスリランカにも食後のデザートがある。
カスンさんが頼んでくれたのが、フワリヤ(530円)。

甘く煮たココナッツをイディアーッパで包んで焼いたデザートだ。〈そうめん〉を使ったデザートは、日本にはないはず。

デザートも手で食べるのか、カスンさんに訊き忘れた。
スリランカの食文化、オモシロイ。ハマりそう。

サンライズレストラン
千葉県船橋市本町4-5-18 小泉ビル3F
電話/047-779-3413
営業/11:00~23:00(LO22:30)
休み/不定休
*料金はすべて税込み

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。