シートノック

朝10時からトライアウトがスタートしました。
まずはシートノックで野手の守備を見ていきます。

 

 

ノックを担当するのはジャイアンツの後藤孝志コーチです。

「3回連続で自打球を足に当てて痛さのあまり転げ回る」

という“かぶせ”と“リアクション”を掛け合わせた持ちネタで、昔よく珍プレー好プレーに出ていました。

 

 

守備を見ていてとくに目についたのは元・オリックスの深江真登。

肩が強く1人だけ外野からの返球のキレが飛び抜けていて

「これはどこか獲得に乗り出す球団が現れるかもしれないぞ」

と観客席から注目を浴びはじめたその時、次にきた平凡なフライを落球してしまいます。

 

この時の球場の反応が本当に何とも言えないトライアウト特有の雰囲気で、

普通だと野球の試合で野手がエラーした場合は味方から野次や罵声など怒りの感情が、敵からはチームが得をしたことによるよろこびの感情が沸き起こるものです。

しかしトライアウトでは、基本的に観客全員がトライアウトを受けている選手全員を応援しているので、深江が落球した瞬間、球場全体がため息と落胆で包まれました。

普通なら何の問題もなく処理できる打球にもかかわらず、2回目のトライアウトという

「このチャンスを逃したら後がない」
「絶対にミスが許されない」

という極限状態から出てしまったエラー。

トライアウトの恐ろしさを垣間見た気がしました。

 

 

シート打撃

続いてトライアウトのメインとも言えるシート打撃に移ります。
投手が打者4人を相手にカウント1-1から対戦していきます。

 

 

1人目の打者、元・日ハムの村田和哉が打席に入るとここで球場全体から拍手が起こりました。

先ほども書いたように、それぞれの思い入れに差はあるものの基本的に観客全員が選手全員を応援しているので、

そんな観客たちの「がんばれ!」「よく挑戦しにきた!」という思いから自然発生した温かい拍手に、ちょっと涙腺をやられそうになりました。

 

結局、村田は初球を打ってレフトフライに倒れたのですが、そうすると今度は打ち取った投手の藤谷に拍手が送られます。

このように何らかの結果が出るたびに球場全体から拍手が起きるのですが、

四死球やボテボテの内野安打、内野と外野の間に落ちるポテンヒットの場合、どちらが勝ったのか判断しにくいので、拍手は起こらず球場全体に何かモヤモヤした気持ちだけが残ります。

 

 

しかも、この日は野手の参加者が少ないため守備にはジャイアンツの2軍選手が駆り出されており、このジャイアンツの選手たちはゲームのNPCキャラみたいな感じで、

そこまで本気で守らないので(たまにセンターがいなかったりする)、「今のは内野ゴロだな」みたいな打球が内野安打になったりして、本当の実戦での結果というものがわかりにくくなっています。

盗塁も捕手が本気で刺しに行かないせいであっさり成功してしまうので、実際の成功と失敗の判断がつかず微妙な空気になります。

 

 

そんな感じでシート打撃は進んでいき、ここでいよいよ4人目の投手として藤井秀悟がマウンドに上がります。

2001年の最多勝や2008年10月のブログ月間更新回数222回などさまざまな記録を持ち、本来だったら引退試合が行われていてもおかしくないくらいの選手です。

この藤井を一番の目当てにやって来たファンがほとんどだったらしく、マウンドに上がるときの歓声の量が他の選手とは桁違いでした。