「頭文字D」
作者:しげの秀一/連載開始:週刊ヤングマガジン1995年30号

実在の峠を舞台にした走り屋マンガ。昭和の名車であるスプリンタートレノGT-APEX(AE86前期型)──通称ハチロクが、アンフィニRX-7、スカイラインGT-R、ランサーエボリューションIVといった最新鋭の(もしくはそれに類する)スポーツカーを、切れ味鋭いドリフト走行でバッタバッタとなぎ倒すというカタルシスがウケて人気となりました。“下り専門”というマニア心をくすぐる設定も大事でした。

アニメ化、実写化、映画化、ゲーム化と、一連のコンテンツ展開を経ながら、2013年まで連載される長寿作品となりましたが、途中からは週刊連載マンガではおなじみのドラゴンボール的なバトルマンガの傾向が強くなりましたね。「ハチロク」の魅力をあらためて掘り起こした功績は大きく、直接的でないにせよ、トヨタが2012年に「86」をリリースするきっかけにもなったのではないかと思われます。

 

1995年のアニメ

現在も人気が衰えない
人気アニメが日米で誕生!

1995年は、エポックメイキングなアニメが誕生した年です。特に注目したいのは、社会現象ともなった「新世紀エヴァンゲリオン」。またここで紹介した作品以外にも、「スレイヤーズ」「ぼのぼの」「NINKU -忍空-」といったアニメが放映開始となりました。

映画の世界でもアニメ史に残る傑作が誕生してます。日本では、さまざまな作品に影響を与えた「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」が、アメリカではピクサーによる「トイ・ストーリー」が公開されました(日本公開は1996年)。アニメにおいては、非常に豊作だった年といえます。

新機動戦記ガンダムW
放映開始:1995年4月7日

オリジナルのガンダムの設定である宇宙世紀とは異なる、アナザーストーリーのガンダムシリーズ第二弾。これまでのガンダムシリーズとはまったく異なる設定で、賛否両論を生んだ作品です。

特徴は、その後のSEEDシリーズにも通じる美形キャラたちと、ケレン味たっぷりのモビルスーツデザイン。前作のGガンダムと同様に様々なデザインのガンダムタイプが登場し、ガンダムシリーズの可能性を大きく広げた作品となりました。いまだにファンの多いガンダムのひとつです。

 

新世紀エヴァンゲリオンオフィシャルサイトより。

新世紀エヴァンゲリオン
放映開始:1995年10月4日

20世紀のアニメの歴史にその名を刻んだ名作の登場は、もう20年前になるんですね。斬新な設定のロボットアニメかと思いきや、中盤からのシリアスなエピソードや難解な表現技法、容易に理解できない衝撃的なエンディングなどが視聴者の間で騒ぎとなり、むしろ放映終了後に話題となった作品です。タイポグラフィを駆使したテロップのデザインも秀逸でした。また、深夜枠となった再放送での注目度が高く、「深夜アニメ枠」を産むきっかけになった作品でもありますね。

そして注目すべきは、作品内の時代設定が2015年なところ! そう。今年は、第3使徒サキエルが出現した年に当たるのです。そういう視点でこの作品を見直してみると、当時は想像できていなかったであろうスマホが存在していないなど(登場人物が所持する端末は形状が折りたたみ式)面白い発見がありますよ。

 

「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」
監督:押井守/1995年11月18日公開

リアルワールドと電脳空間を舞台にしたサイバーSFアニメ。独創的な舞台設定と映像表現、哲学的なテーマなど、日本だけでなく海外でも評価された作品です。とても20年前のものとは思えませんね。個人的には戦闘シーンのカッコよさにしびれました! そういえば映画「マトリックス」シリーズ(1999年~)にも影響を与えたと言われています。

その後「攻殻機動隊」シリーズは、TVアニメや劇場用アニメとして数多くの作品が制作されています。また最近では、スカーレット・ヨハンソンを主役にハリウッドで実写版が作られるという話も出ています。こちらも期待したいですね。