「褒めて育てましょう」とよく言われますが、ただ“褒める”といってもなかなか難しいですよね。その中に「○○だから、いい子だね」と条件付けをしたり、友達と比べて褒めたり…「その褒め方はちょっと止めた方がいいかも…」の褒め方があるように思います。
『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。
筆者は仕事柄、多くの保護者と接し、幼稚園、保育園の現場にいることが多いのですが、そんな環境の中で「あれ?その褒め方、ちょっとおかしくありませんか?」と感じることがいくつかありました。
衝撃の褒め方
ある幼稚園で実際に目にした光景です。
お絵描きの時間、「わあ、上手に描けない~!」とべそをかいている子どもがいました。そこへ担任の先生が駆けつけ、放った衝撃の一言!
「大丈夫よ~みんな、下手だから~」
励ましているんだか、けなしているんだかわからないような言葉がけでしたが、思わず笑顔で明るくこう言い放った先生。でも、子ども達は何だか納得した様子でした。 まるで「赤信号、みんなで渡れば怖くない」みたいな感じですよね。
“周りも自分と同じように出来ていなかったら、ちょっと安心する。焦らなくなる”
このように他人と比較して自分の立ち位置を確認してホッとするのは、幼い子も大人も同じなのかもしれません。
おすすめしない褒め方 あれこれ
×出来ていない子どもと比べて褒める
「大丈夫よ。あの子よりは上手に描けているから」と褒めたら、子どもはどう反応するでしょうか。おそらく、この褒め方でも安心した顔をするかもしれません。
“人の不幸は蜜の味”という言葉があるように、人の不幸を見て自分を慰める心理が子どもにもあるように思います。
けれども、これでは“自分より劣っている人を見下す心”が育ってしまいます。“思いやりの心”“いたわる気持ち”“優しい心”なんか生まれません。「周りに比べてあなたは偉い」という褒め方は止めた方がいいかもしれませんね。
×一定条件を付ける
- 「100点取ったから偉いね」
- 「一番になったから素晴らしいね」
- 「お片付けしているからいい子だね」
と無意識に「○○だからいい子」の条件付けをしてしまうことがあります。けれども、これらは裏を返せば…
- 「100点でないとダメな子」
- 「二番手、三番手、ビリになったら価値がない」
- 「散らかしているのは悪い子」
と暗にメッセージを送っていることにもなります。親の出す条件に到達しなかった場合、「自分には価値がない」とまで考えてしまうかもしれません。
自己肯定感、自尊感情を育てるために褒めていたとしても、こんな言い方をしていると反対に“あっという間に崩れてしまうもろい自己肯定感”が育ってしまうのです。