子どもを育てる中で“叱ること”って避けては通れないですね。その中で表面的には子どもが親の言うことに従って効果抜群に見える叱り方も、実は子どもの心を傷つけていることがあります。
「伸び伸びと育てたい」と思っていても、躾をしなければ子どもは人として成長していきません。なにをしてもほったらかしていたら野獣のようになってしまいます。でも、叱りかたにも一工夫、必要です。
『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。
1. 公衆の面前でしかる
スーパーで売り物のお肉のパックを指でプスプスしたり、陳列してあるほうれん草をちぎったりしたとき、言葉で注意するのではなく、パーンと子どもの手や頭を叩いているママを時折見かけます。もしかして、「売り物をダメにしたら店員に叱られる!」と感じてしまい“瞬間湯沸かし器”のように頭に血が上ってしまったのかもしれません。
それから、「私は母親として、こんな風にきちんと子どもを叱っていますよ」とアピールしたい気持ちも僅かばかりあるのかもしれません。
でも、ちょっと子どもの身になってみると…公衆の面前で怒鳴られ叩かれ、ひどくプライドを傷つけられているのです。
よく「頭は大事なところだから、子どもの頭は叩いてはダメだけれど、それ以外のところは良い」という人もいますが、どの部位であっても叩いて躾けるのは賢明な方法とは言えません。
何故なら、子どもは「痛いから」「怖いから」の理由で条件反射的に言うことを聞いているだけ、子どもには「それをしてはいけない理由」は伝わっていないからです。
解決法
叱る時はグッと子どもの腕を掴んで柱の影やトイレに連れて行き、誰もいないのを確認してから、「スーパーの売り物はまだお金を払っていないんだから○○(子どもの名前)の物ではないの。商品を触るのだったら、これからは二度と買い物には連れてこないよ」とビシッと叱りましょう。
いちいち柱の陰に連れて行くのは面倒で手間な気もしますが、意味なく怒鳴られたり叩かれたりするよりも、「なぜ、それをしてはならないのか」を子どもは理解するので、同じことを毎回何度も注意する必要がなくなり、結果的に時間短縮になります。
更に、“触ってはならない本当の理由”を理解することが出来るので、店員やママがそこに居なくても、売り物をやたら触ることをしなくなりますよ。
2. 親が泣き真似
「ママを泣かせて悪いことをした」と子どもに思わせようと、親が泣き真似をするのはどうでしょう?
子どもは親の庇護なしには生きていけません。頼りきっている親に泣かれてしまったら子どもは身の置き処を失い、不安になります。「大事なママを泣かせてしまった」と心はザワザワ、ワナワナしてしまいます。親が子どもの前で泣き真似をするのは、止めた方が良さそうですね。
やがて、親の泣き真似が“自分をなんとかしようとする嘘”であることがばれる時が必ずやってきますよ。
解決法
ママが悲しむから商品を触ってはいけないのではありません。お金を払っていないものは触ってはいけないのです。
こんなときは「お金を払っていない商品は、自分の物ではないことをまだわかっていなんだね。ママはとても悲しい」と正当な理由を言いながら、悲しそうな顔をしましょう。これは意味なく泣き真似をすることにはならず、子どもは反省します。
3.悪い手本を示す
わが子がお友達の玩具を奪い取ろうと、友達の腕を噛みついたとします。噛まれたらどんなに痛いことかを本人にわからせるため、「ほら、こんなに痛いのよ」といきなり子どものやったことを真似て、子どもを噛んで見せる人がいます。
でも、子どもはショックを受けます。そして「なぜ、ママが今僕の手を噛むの?」と思っています。あまり意味のない行為ですね。親が子どものやったことを真似するのは止めましょう。(過去記事「どうしてそんなことするの!子どもが攻撃的になってしまう理由&対処法」)
解決法
「友達が使っている玩具が欲しいとき、噛みついてはいけないよ、手を出して『ちょうだい』をしてね」と噛む行為はいけないことを伝え、代替案として「ではどうしたら良いのか」を伝えましょう。
言葉がまだ話せない1歳児くらいでも手を伸ばして「ちょうだい」のジェスチャーは出来ます。
それから、絶対に忘れてはならないのは、噛まないで動作でできたら「歯を使わないで手で『ちょうだい』が出来て偉いね」と褒めてやることです。せっかく自分の気持ちをコントロールしているのに親が気付いてくれなければ、態度は元に戻ってしまうからです。